『深く考えること、検索だけじゃわからないこと。』 LUMINEや資生堂などのコピーライトを手掛ける尾形真理子氏 × 実業家 福田淳の対談 | Talked.jp

『深く考えること、検索だけじゃわからないこと。』 LUMINEや資生堂などのコピーライトを手掛ける尾形真理子氏 × 実業家 福田淳の対談

『深く考えること、検索だけじゃわからないこと。』 LUMINEや資生堂などのコピーライトを手掛ける尾形真理子氏 × 実業家 福田淳の対談

webサイト、ソーシャルメディア、動画配信サイトの登場で、メディアが非常に多様化した現代。果たして今、広告業界のトップクリエイターは、どのような意識で仕事に取り組んでいるのだろうか。LUMINEや資生堂などの広告コピーを手掛ける(株)博報堂 コピーライターの尾形真理子氏と、テレビやソーシャルメディアなどに造詣の深いソニー・デジタル エンタテインメント社長の福田淳氏に対談いただき、広告制作に携わるクリエイターの今に迫っていく。

撮影:越間有紀子

2014年9月11日(木)

尾形 真理子 氏

尾形 真理子 氏

(株)博報堂 クリエイティブデザイン局
1978年生まれ、東京都出身。01年、博報堂に入社し、以来、コピーライター/制作ディレクターを務める。LUMINE、資生堂、東京海上日動あんしん生命、Tiffany&Co.、キリンビール、エーザイ、日産自動車などの広告を手がけ、朝日広告賞グランプリ他、多くの広告関連の賞を受賞。

福田 淳 氏

福田 淳 氏

ソニー・デジタル エンタテインメント 社長
1965年生まれ、日本大学芸術学部卒。アニメ専門チャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。(株)ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント バイス・プレジデントを経て現職。

クライアントの中にない理想は通らない

福田:私は男性で49歳なんですけど、たぶん女性の精神年齢に合わせると29歳くらいまで成長していると思います(笑)。そういう視点で尾形さんのコピーを拝見したら、すごくピンと来たんです。ピン度が高いですよね。

尾形:ありがとうございます。

福田:特にLUMINEの「似合ってるから、脱がせたくなる。」というコピーは女性が、男性目線をフィードバックして感じていることなんだなって。すごくリアルで、男性にもズバっとくるものがありました。
私の会社はSNSを活用したコンテンツマーケティングをやっているんですけど、その中で思うのは、どんなクライアントもトップが思っている以上のアウトプットは受け入れられないということ。素晴らしいと思ったアイディアでも、その企業にとってそれが突拍子もないアイディアだと、受け入れてもらえない。だからプレゼンでは絶対にプロジェクトの決定権者の方と会うようにしています。

尾形:たとえば今日の対談でも、きっと福田さんは私のレベルでしか話せないと思うんです。私のレベル以上のお話があっても自分のレベルでしか解釈できないですし、話し手も聞き手に合わせてしか話せない。 もちろんクライアントを驚かせるとかチャレンジを促すとかいうことは大事なんですけど、でもやはりクライアントの中にない理想はどうやっても通らないし、何かの拍子で無理にそれが通せたとしても、大体はうまくいかないし、継続もできないと思います。だから私はいつも「どこに向けて、どのあたりを価値にすれば良いんだろう」「どの言葉にすれば良いんだろう」といったことを模索しているような状態ですね。 LUMINEのコピーの場合は、抽象的な話になってしまいますが、広告の世界観の中で、どの辺に言葉があれば良いのかを意識しています。それはデザイン上の位置という話ではなく、言葉のポジションというか、奥行きというか、役割というか。そういうものをどの辺りに置くかを考える時間がほとんどですね。で、「今回はこの辺りを狙おうかな」と決まったら、逆に言葉そのものはなんでも良い。いや、何でも良いはちょっと言い過ぎかもしれませんけど、でもちゃんと温度感や距離感がコミュニケーションできるものであれば、私の中では言葉はそれほど重要ではないですね。