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「誰かがちゃんと得をする」のが中国

AI姉さんに学ぶ! 中国デジタル事情

福田:中国の景気やムードは他国と比較して元気ですよね? プラス成長ですよね。

國本:はい。元気にはなっていますよね。中国のほうが終息に向かうのが早かったので。

福田:だから、ライブコマースなんてもうすごい活況ですよね。

國本:そうなんです。やっぱり、日本と違うのがライブコマースですね。面白かったのが、Trip.comという、中国最大のネットの旅行会社の売上が格段に落ちたんですよね。その時、会長がライブ配信を始めたんです。中国はライブ中に投げ銭やECで買えるので、7億円以上オンラインで商品を売り上げました。

福田:もう、動き始めているからということですね。一方、日本はコロナ禍にあって、Yahooのライブコマースが終わりましたよね

國本:ああ、終わりましたね。

福田:日本はどうして、こんなにライブコマースが流行らないんでしょうか。「ふみ文化だから?」と思ったりしますけども。

國本:中国ほどKOL(中国のインフルエンサー)があまり目立っていないこと、かつその人が得をするしくみがまだ確立されてはないですよね。中国のKOLは、月収で何千万という人も多いです。日本では17LIVE(イチナナライブ)というライブ配信アプリが流行っていますが、まだまだこれからという感じでしょうか。

福田:たしかに。あと中国では、空の領収書がないんですよ。みんなWeChatとかでQRコードでプリントアウトしたものでやり取りをしているから。中国で企業活動したいってクライアントは多いじゃないですか。僕は、「まず火星に行くと思ってください」と言います。何にもネットワークも繋がっていませんからね。今はもうほとんどVPN*も使えない。

國本:急にVPN使えなくなったりしますからね。

福田:中国でやり取りするためだけに、VPNサービスを2つぐらい有料の加入してます。まぁすごい時代になりましたよね。コロナで海外に行けなくなって、中国がいちばん回復が早く、なぜか成長しているという、この皮肉な事実。

國本:そこをチャンスと捉えていた人がすごく多かったなと思っています。AIという領域だけでいっても、顔認証して検温するもの、マスクをしてでも顔認証ができるものなど、中国では3月(2020年)の時点で設計が出来上がっていたんですよね。日本の場合はそれを開発から、となって時間がかかる。

福田:そのスピードとパワーね。中国の人って、自分が作った会社もすぐ売りますよね。すごい思い入れがあるのかと思いきや。

國本:そうですね。商売人ですから。

福田:深センに、弊社スピーディチャイナの役員が近くに住んでいるんですが、彼はテンセントの創業者のファイナンスアドバイザーなんですけども、毎日同じTシャツを着てるんです。すごいお金持ちなのに。で、いつもアニメの紙袋を持っているんですよ。ファッションよりも、美味しいものを食べたいんですね。で、それも「家族とシェアしたいから」という。

國本:中国の人にとって、「家族」というのは強力なキーワードですね。

福田:そう。だからいい服を着たいとか、いい車に乗りたいとかは、もうちょっと先にあるようです。「なぜ儲けたいの」って聞くと、「美味しいもの食べたい」と。だから中国のすごさは、やっぱり成長スピードに対して、文化面の成熟度がこれからで、そこに可能性があるところですね。Wi-Fiなんかも、日本に比べるとかなり強いですよ、中国は。

國本:ネットがないと生きていけないですからね。

*中国でインターネットを活用するために必要な仮想プライベートネットワークと呼ばれるシステム。

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