ビジネスエリートを幸せにするコーチング

ビジネスエリートを幸せにするコーチング(後編)

編集:井尾淳子
構成:坂口ちづ
撮影:越間 有紀子
日程:2020年11月26日

山﨑 直子 (写真/左)

1969年生まれ。NOKs Labo代表、ウェルスマネージャー パーソナルコーチ。大学卒業後、三菱信託銀行に一般職として入社。窓口、事務、営業インストラクター、本店窓口主任を歴任。
33歳の時「お前自身は一体何をしたいの?」と部長に問われ、「ない」ことに愕然。「自分のない人生」を変える決意で、異動希望を提出。一般職で例のない「資産10億円以上の顧客担当ウェルスマネージャー」へ。2年後、手数料数億円を稼ぐトップバンカーとなり、2007年UBS銀行東京支店へ転職。ウェルスマネージャーとして、数百億の資産を管理・運用。その後部長職も担い、プレイングマネージャーとして働くと共に、ボランティア活動の社内リーダーとしても年間約80のプログラムに関わる。年間の活動時間は400時間を超える年もあり。UBSでGlobal Employee Volunteering Award受賞。超富裕層も支援される人も「孤独感」を抱えている。そんな人々に寄り添う力を磨くべく2017年よりコーチングを学び、2019年には合同会社NOKsLaboを設立。2020年12月UBS証券株式会社を退職し、独立現在に至る
http://nokslabo.com

福田 淳(写真/右)

1965年大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。 ソニー・デジタルエンタテインメント創業者。横浜美術大学 客員教授、金沢工業大学 客員教授。ブランディング業務以外にも、女優”のん”などのタレントエージェント、北京を拠点としたキャスティング業務をはじめ、国際イベントの誘致、企業向け「AIサロン」を主宰、ロサンゼルスでのアートギャラリー運営、沖縄でのリゾート開発、ハイテク農業など、活動は多岐にわたっている。タレントと日本の芸能界にはなかった「米国型エージェント契約」を導入したことでも話題を呼んだ。
モザンビーク支援のNPO法人「アシャンテママ 」共同代表理事、NPO「タイガーマスク基金」の発起人をはじめ、 文化庁、経済産業省、総務省、内閣府などの委員を歴任。
2022年4月30日『スイスイ生きるコロナ時代』(坂井直樹氏と共著/高陵社書店)を上梓。著書に『パラダイムシフトできてる? ~ポストコロナ時代へ』(スピーディBOOKS)『SNSで儲けようと思ってないですよね~世の中を動かすSNSのバズり方』(小学館)がある。
公式ウェブサイト http://AtsushiFukuda.com

10円を見ないで描けますか?

福田:自立を促すためにコーチングが必要だったとのことですが、具体的にはどういうことをするのでしょうか。相手は会社のリーダーですから、当然自分は自立した人間だと思っているわけですよね。「ちょっとこういうふうに変わった方がいいですよ」とアドバイスをすることが多いのでしょうか? コーチングを依頼した場合、どういうことから始まるんですか?

山﨑:自分を知るところからです。

福田:クライアントが自分を知らない?

山﨑:はい。意外とわかっていないですよ。例えば「10円玉描いてみてください」とお願いします。

福田:10円玉ですか?

山﨑: そうです。10円玉です!10円玉って、通貨の中でも一番身近にあって、誰もが知っていますよね。「10円を描いてください」と言って、10という数字がある面を描いていただくのです。できるだけ細かいところまで。もし良かったら福田さんもやってみてください。

福田:どうだったかな。10円玉って10以外にアピールするものないですよね。…いや、ちょっと待って。影がないと適当に書いたと思われるな。影を入れてみよう。美大出身らしい感じで立体感をつけて……。日本銀行みたいなのが書いてあるんですよ。こういうふうにきっと。こんなんですよ(と、実際に書き始める)。

ビジネスエリートを幸せにするコーチング

山﨑:今、10円玉あります?

福田:はい10円。

山﨑:結構、衝撃を受けますよ。よーく見てください。

福田:(実際の10円玉を見入りながら)これは月桂樹なの?

山﨑:そう。月桂樹があるんです。そして月桂樹の真ん中にリボンが結んであるんです。

福田:ほんとだ。リボンだ。

山﨑:しかもこのリボン、じっと見ると可愛くないですか? すっごく可愛いんですよ。

福田:ほんとだ。高貴な感じがする。しかも10円玉ってこんなに小さかったっけ?

山﨑:でしょ?

福田:こんなにちっちゃいんだ……。ところでこの10円を観察するっていうことは、何につながるんですか?

山﨑:要はこの10円玉と同じで、「自分は自分のことが分かっている」と思い込んでいるのです。無意識のうちに人は多くの情報を処理し行動しているのですね。この「無意識」が厄介なのです。「わかっている」という思い込みにつながります。意外と皆さん、ショックを受けますね。見ているようで、実は見ていないものがたくさんあると。つまり私のコーチングでは、まず最初に丁寧に自分を見つめていく作業を行います。決して何か新しい別のものを見つけるということではないんです。「自分の心の中にあるひだを細かく覗いていくような作業になります」そうすると、違う自分が浮き出てきます。本当の自分が見えてくることで、無意識に蓄積してきた自分に関する古い情報に固執することを減らすことができ、もっとしっかりとした自分の軸を、打ちこむことができるのです。

福田:自分の可能性が広がる。

山﨑:広がります。

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