熱量で壁を越えていく。
「新規事業家」の生き方とは
(前編)
編集:井尾淳子
構成:草野美穂子
撮影:越間 有紀子
日程:2021年6月13日
守屋 実(写真/左)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミに入社後、新市場開発室でメディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社エムアウトを、ミスミ創業者の田口氏とともに創業、複数事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。新規事業家として活動。ラクスル、ケアプロの立上げに参画、副社長を歴任後、キャディ、シタテル、ガラパゴス、みらい創造機構、日本クラウドキャピタル、日本農業、サウンドファン、VALT JAPAN、セイビー、カタラクシー、ミーミル、あすけん、テックフィード、ドクターメイト、カイテク、MAGIC SHIELDS、フリーランス協会、みんなのコード、おうちにかえろう病院、JAXA、博報堂、リクルートホールディングス、JR東日本スタートアップなどの取締役、顧問、フェローなど、東京医科歯科大学など講師、経産省、内閣府など有識者委員、山东省工业和信息化厅の人工智能高档顾问を歴任。2018年4月ブティックス、5月ラクスルを、2か月連続で上場に導く。近著に「起業は意志が10割」(講談社)、「DXスタートアップ革命」(日本経済新聞出版)、「新しい一歩を踏み出そう! 」(ダイヤモンド社)などがある。
Wiki掲載
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%88%E5%B1%8B%E5%AE%9F
福田 淳(写真/右)
スピーディ・グループ C E O
金沢工業大学大学院 客員教授 / 横浜美術大学 客員教授
ソニー・デジタルエンタテインメント社 創業社長
1965年 日本生まれ / 日本大学芸術学部卒
コンサル業務以外にも、女優”のん”などタレントエージェント、ロサンゼルスを拠点としたアートギャラリー運営、不動産事業をはじめ、中国の新経済特区マカオをベースとした日中エンタメ開発、エストニア発のブロックチェーンを活用したNFTビジネス、企業向け“AIサロン‘を主宰、沖縄でのリゾート開発・ハイテク農業、日本最大のeコミック制作、出版業など活動は多岐にわたる。
カルティエ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」、ワーナー・ブラザース「BEST MARKETER OF THE YEAR」など受賞。著書、講演多数。
公式サイト: http://AtsushiFukuda.com
ラクスル成功の秘訣は、あのCM
福田:今日のゲストは“新規事業家”の守屋実さんです。守屋さんはこれまでに50以上の新規事業を手掛け、5月には『起業は意志が10割』(講談社)という本を出版されました。共通の知り合いから「福田さんは、すぐに守屋さんと会ったほうがいい!」という強い推薦があって、初対面での対談となります。守屋さんが立ち上げたといえば、まずラクスルですよね、弊社の、のんが大変お世話になっています。
守屋:はい。こちらこそ、大変お世話になっております。
福田:このラクスルのCMの回数、半端ないんですよね。朝起きてテレビつけると出てくる、みたいなイメージです。
守屋:上場するまでの間だけでも、40億円ぐらいテレビCMに投資しましたからね。
福田:でも、意味がある投資ではあったわけですね。
守屋:はい。25倍売上伸びたので。テレビCMの効果は絶大ですね。
福田:僕は長年エンターテインメントを中心に仕事をしてきましたけど、みんな何かを立ち上げるときって、テレビしかやらないんですよね。あれだけデジタルを知り尽くしている連中がマーケティングするときも、テレビ媒体に一番投資しています。それだけ今でもテレビはすごい力があるということですね、日本においては。
守屋:そうだと思います。ラクスルもWebマーケをやっていても天井が見えてしまって。「最終的な突破口はテレビだった」という話です。
福田:それまでいろいろやった後にテレビに行きついたわけですね。ちょっといじわるな質問になるかもしれませんが、そうは言っても、印刷というのはこれからの時代の流れとしてはどうなのか、ニーズがあるのか、とも思える分野じゃないですか?
守屋:印刷市場全体で言うと、たしかに非常に下がっています。でも、その中のネット注文ができるWeb印刷については、年率30%も伸びているくらい、高度成長期だったんですよ。
福田:なるほど。守屋さんはそこを見たわけですね。
守屋:そうです。伸びしろも大きく、市場の95%がWeb化されていなかったんです。