プラ子、旅する。アフリカ行って幸せ力ついた![前編]
栗山 さやか 氏
元109のショップ店員。現在はモザンビークで女性や子供たちへの教育を支援する協会“アシャンテママ”で活動中。
また、現地の国立医療学校を卒業し、医療技術師の資格を取得。2015年3月よりモザンビーク北部の病院で勤務開始予定。
福田 淳 氏
実業家。ソニー・デジタル エンタテインメント 社長。
1965年生まれ、日本大学芸術学部卒。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントでアニメチャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。
構成:福田千津子 撮影:越間有紀子
2015年1月8日(木)
ブログがティーンに大人気!
福田:ようやく初めてお会いできました。日本は何年ぶりですか?
栗山:日本を出発したのが2006年2月なので、約9年ぶりですね。
福田:9年ぶり! ブログを書き始めたのはいつ頃からですか?
栗山:最初はmixiだったんですよね。エチオピアにいたときは、朝から晩まで施設でボランティアしていたので、エチオピアを出てケニアのナイロビに着いてから始めたんです。
福田:そのmixiにファンがわっと付いた。
栗山:いや、そんなことないですよ。mixiの友達が読んでくださる感じでした、はい。
福田:その後プラ子さんのブログが話題になって、僕のところに「ケータイメディアで何かできませんか?」って仕事としてきたのがさやかさんを知るきっかけだったんですよ。確か2007年6月のことです。
栗山:はい。
福田:当時はまだケータイのメディアとしての地位が低かったんですけど、元・渋谷ギャルがアフリカで大活動している話だったら携帯ユーザーとも相性いいんじゃないか、ケータイ文化が根付くきっかけにもなるんじゃないかと考えました。それでケータイ小説全盛期にコラムを提供させてもらったんですよね。
栗山:そうです。
福田:そしたら、大ヒットして1000万人以上も読んでくれたんです。やっぱり渋谷の子たちっていうか、ティーンの心をつかむ要素があった。
栗山:ですかね。
福田:携帯メディアに、うまくはまったんですよね。ケータイ小説とは違うリアリティが共鳴を呼んだのだと思います。たとえば、さやかさんがモザンビークに着いてジープに乗せられて町に行くわけです。途中で、車が急にとまって近所の人が集まってきて「おまえ、人を轢いただろう」っていってくる。確かに人が轢かれて死んでる。一人3万円ずつ払えば見逃してやる、と。でも結局は既に死んだ人を道に放り投げて準備していたという話がありました。
栗山:はい。
福田:恐ろしい話ですよね。そんなことが日常です、ということが淡々と書いてあって。やっぱり当時のケータイ小説ってフェイクの世界で、高校生か大学生が書いている半自伝みたいなものなんですが、17~18年しか生きてないから、殆ど妄想なんですよね。みんな交通事故か癌で死んじゃうような話ばかりがウケていたんです。でも、物語にリアリティがなかった。そういう中で『プラ子、旅する』を出したら、何か違う異様な反応があった。これは、栗山さやかさんって人が実際に体験した本物の話だってこと。あまりの反響の大きさに、紹介者である坂之上洋子さんやサポーターの仲間と居酒屋に集まって、さやかさんを支援できないのかという話になったんです。そのとき、アフリカ協会の方にも相談に行ったら「あなたもお尻に注射打ってアフリカ行ったほうがいいよ」と言われたんですが、「いや、アフリカは怖いから行けません」とかたくなに抵抗して、「東京でできることをやる」と。