セルフィーでブランディングする時代【成蹊大学講演 前編】 Talked.jp

セルフィーでブランディングする時代【前篇】

日時:2015年6月16日(火)
場所:成蹊大学 吉祥寺キャンパス 坂井直樹ゼミナール

福田 淳 氏

実業家。ソニー・デジタル エンタテインメント 社長。
1965年生まれ、日本大学芸術学部卒。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントでアニメチャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。

撮影:越間有紀子


ブランドとメディア

「ブランディング」って、よく言いますけども、「ブランド」ってどういう意味なのかって紐解きますと、起源は中世以前のヨーロッパにありまして、自分の家畜とかの区別をするための「焼き印」を豚とか牛に押したんです。他の家畜と区別するために使ってた「焼き印」だったのです。焼くっていうのはバーンド(Burned)から派生して「ブランド」っていう言葉が出来ました。今では「ブランド」というと「商標」と訳されまして、ルイ・ヴィトンのブランドとか、そういう使い方をされるわけなんですが、商標やマークとか、タグ。あと、ワインなんかもそうなんですけども、そういう目印のために作られたのが最初だったということなのです。
今日のテーマは、ファッションの世界がセルフィーによって変わるっていうお話をさせていただくわけなんですけども、これが20世紀になりまして、マスメディアが発達していくと共に、マスメディアによるファッションのメジャー化っていうのがどんどん進みます。その中で、20世紀はマスメディアの発達に伴って大量消費されるという前提の中で、メディアとファッション、ブランドの関係が緊密になってきました。メディアが商品のブランドイメージをコントロールするような時代がやってきたわけです。メディアがトレンドをつくって、企業の売り上げに貢献できるようになった。

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「ブランド」の語源になった「焼き印」

ファッションとメディアの歴史:メディアがトレンドを作ってきた

ここで、ファッションとメディアの歴史をご説明致します。メディアがトレンドをつくってきた歴史は、実は20世紀になってからで、それ以前の1700年代のファッション業界はオートクチュール、限られた上流階級の方だけがオーダーメードで楽しめる世界だったんです。ですから当然依頼する人も限られるし、知ってる人だけが知ってればいいわけだったのですね。メディアによる伝達は必要なかったわけです。 それが20世紀になりまして、雑誌、ラジオ、テレビが大きくなってきますと、当然、テレビコマーシャル1本打てば何百万人という方々にイメージを伝えられるわけで、そのイメージを伝えるのに「ブランド」があったほうが非常にコミュニケーションしやすいということに気づきました。ファッションの大衆化をマスメディアが助けたということで言いますと、限られたコミュニティーから中流階級の人々、普通の人々に一定のマーケットをつくることができたと。 そして、21世紀におきましては、ファストファッションの時代ということで、全ての人が安価でおしゃれなものが手に入ることができるようになってきたわけなんです。