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企業のトップがSNSを使う秘訣は?

質疑②
LINE、Facebook、Instagram、Twitter、アメブロ。全部やっているのですが、フォロワーの方の中にはどのようなお客様がいらっしゃるかわからないため、本当はどんどんやりたいのですが、使い方が今ひとつわからないところが多いです。福田さんからみて、「これはこう使ったほうがいいよ」というSNSの要点を教えてください。

福田:イギリスのヴァージン グループ創始者で、有名な冒険家の方でもあるリチャード・ブロンソンという方が、「これからの時代、45歳以下の経営者で、ソーシャルメディアをアクティブにやってないやつは駄目だ」という発言をされたんですね。「アメリカのGEなど、トップ企業の社長の顔を何人、思い浮かべられますか」という問に対して、ほぼ顔が浮かぶ人がいなかった。企業にも「法人格」という顔が必要で、ソーシャルメディアを通じて社長の顔が認知されていれば、それだけお客さんに安心感を及ぼすということですね。

もしどこかの企業の社長が自社サイトにかしこまった自分の写真を載せて、『お客さまをわくわくさせます』と書いたところで、説得力あると思いますか? やはり、何らかの形で、消費者とコミュニケーションしたいのが経営者だと思うんです。どんなソーシャルメディアであっても、「世間で流行っているSNSはやるべき」というのが僕のアドバイスです。

じゃあ、どういうふうにやるか。ほとんどのメディアは「C to C」なので、たとえ経営者であっても、「知り合いのおじさん」とか「お姉さん」という、友達のような親近感を持ってユーザーは見ているわけです。だから、「きょう、面白い印刷物つくったよ」とか、「こんな新しいテレビの番組出ました」なんていう宣伝ばかりだったら、フォローを外されますよね。キャンペーンのことばかりつぶやいて、全然フォロワーがいないというのはありがちなんです。僕がいつも企業の広報の方にコンサルタントでお伝えするのは、「TwitterでもインスタグラムでもFacebookでも、“3対1の法則”をやられたらいいですよ」と。

「3」は業務に関係ない、日頃本当に思っていることや、自分のキャラクターが出ること、会社人間ではない「土日の普通の生活者」としての自分を出す。『秋ですね。マツタケ食べました』『紅葉の季節ですね。うちの妻と一緒に新宿御苑に行きました』。何でもいいんです。そして「1」は、『秋になったので、そろそろ仕事をやる気になりました。今、こんなプロジェクト考えています』。この割合だと、フォローを外されないんですね。ソーシャルメディアのフォロワーを増やして、ある影響力を持とうとすると、自分の生活、性格、関心事をいつも出していくことが大事かなと思います。

以下に、各メディアの特性を説明しておきます。

【Twitter】
まずTwitterで2桁で伸びるのは日本とアメリカだけなんですね。「忙しくてつぶやく暇ないよ」という方はまず、「ソニープラザが好きだ」「銀座シックスには必ず買い物に行く」「BEAMSで買い物する」など、何でもいいので、自分が好きな作家、政治家、芸能人、事柄、場所など最低100、フォローしてください。フォローするだけで、何にも発信しなくていいです。そして移動中などは暇つぶしにゲームなんかをやらずに、それを見るわけです。「これ、書き留めておきたいな」とか、「興味深い記事発見したな」という場合は、リツイートというボタンがあるので、それを単に反復する。そうすると自分のタイムラインが、人の情報で埋まります。自分の覚書のようなものだと思ってください。全部の情報が、人の脳みそを経由した二次情報なので、面白いですよ。ホリエモンが「Jアラートで起こされた。100億の血税って無駄じゃないか」とつぶやいて炎上しましたが、「こういう考え方があるのか」と思ってリツイートすると、それをさらにリツイートする人が出てくるんです。そうすると、自分がキャプチャーしたメモを「面白い」と思うフォロワーがいっぱいつく。Twitterって楽しいなと思えるはずです。

【Facebook】
日本では、利用者がどんどん減っている現状にあります。今、登録が2500万人いますけど、実際使っているのは1500万人まで落ちている。主に中高年の同窓会のネットワークに使われているんですね。Facebookは同年代の共鳴、共感。そんなマーケティング。「今、奥さんと旅行でハワイにいるよ」と投稿すると、同級生が「あそこにおいしい店があるから行ってごらん」と書き込む。Facebookは友達しか見ていませんから、地域や同級生のネットワークと考えればいい。そんなに投稿もしなくていいと思います。

【Instagram】
インスタグラムは、最近は仕事で使えることもあります。Twitterほどの速さはないかもしれませんが、特に言葉も要らず、写真が流れていくだけですから、他人から暑苦しく見えません。フォトジェニックという言葉がありますけど、いい写真とか、面白いと思ったものをテキストなしでどんどん上げていけばいいんです。コミュニティーをつくって、新しい世界を知りたい方は、「ハッシュタグ#(半角のシャープがついたキーワード)」を付けるといいです。

新しいメディアが出るたびに必死に追い付いていく必要はありませんが、やはりその特性を知ることで、時代の気分を感じることができると思います。マーケッターであるならば、マーケットを見なければ駄目ですから。全然使わなくても、せめてアカウントだけでも作ってみる。そういう人だけに、新しいアイデアが湧き起こってくると思うんです。みんながSNSに熱狂して、日経新聞の記事で「Twitter赤字だけど2割増」と出ていたら、そこに何があるんだろうと探ってみる。そういう好奇心がないと、いつまでたっても、“わかってない人”になっちゃいます。「世の中のことを知るのが楽しい」と思うのがマーケターではないでしょうか。

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