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大学の「研究」だけでは、環境問題という敵を倒せなかった

「ポイ捨てゴミ」と戦うベンチャー Talked.jp

福田:その後の小嶌少年は、環境問題という敵と戦うべく、どういう進路を進んだのでしょう。大学卒業後、すぐに起業されたんですか?

小嶌:大学は、大阪府立大学なんですが、卒業後は京都大学の大学院に行きました。僕が府立大を卒業した当時は、最後の「超就職温暖期」だったんです。2009年卒なんですけど、リーマン・ショックの直前で。

福田:社会には出やすかったのに、すんなりとは出なかった、と。

小嶌:府立大には、研究者として環境問題の解決を目指して入ったんです。でも大学4年生の時に研究室に配属されて、「あれ、もしかして僕には合ってない?」と思い始めまして。つまらなく感じてしまったんです。

福田:どうしてつまらなかったんですか?

小嶌:研究って、一生かけて一つのテーマを突き詰める世界なんだということに気づいて。つまり、研究の最終的なアウトプットは論文なんですよね。だから、実際の解決まで踏み込めないケースが多くて。ポプラ社の環境問題シリーズは7冊もあったのに、そのうちの1冊しか解決できないじゃん!と。

福田:研究ですもんね。解決というよりも、ただ勉強するだけというか。

小嶌:そうなんです。で、僕が、「あれ、なんか違った」と思った頃には、同期はみんな、もう就職を決めていて。いまさら就活しても……っていう感じだったんですよ。なので、当時の僕には二つの選択肢しか考えられなくて、会社に入るか、会社をつくるか。それなら両方とも試そうと思って、まず大学院に行こうと思いました。

福田:そこで京大の大学院にさらっと行けてしまうところが、むっちゃ優秀ですよ。

小嶌:いや、猛勉強して入ったんですよ。でも半年くらい通ったところで2年間休学して、ベトナムのホーチミンで営業マンをやったんです。インターンですけど、会社員の体験をしようと思って。

福田:休学して、インターンとして働いて? しかしまた、なぜ休学してまで営業経験を持とうと思ったんですか。

小嶌:まず会社に入る体験をしたかった。就職ではなく、あくまで体験がよかったんです。仕事をするにしても何にしても、営業というのは今まで自分がやったことがない領域だったので、それがちゃんとできるのかどうかを見極めたかったんですね。ものの本には、「社長は営業ができないと駄目だ」と書いてあって、もし起業するにしても、営業経験は必要だろうなと。あとは環境問題をやるならば、基本は日本ではなく、海外がメインの舞台になると思っていて。

福田:なるほど。

小嶌:大学時代、インド人の友達に怒られたんです。「僕は環境問題を解決したい」って大阪の浪速の辺りで言ったら、「お前、交差点で深呼吸できるような国で、何を言ってるんだ」とバカにされて。その印象があって、環境問題をやるならば、新興国での生活体験ぐらいしておかないと駄目だ!と。

福田:聞けば聞くほど、小嶌さんの選択は検証と実践の積み重ねですね。

小嶌:僕は、一石二鳥、三鳥、四鳥ぐらいが好きなんですよ(笑)。一度でいっぱい、みたいなことには、すぐに飛び付いちゃうみたいな。

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