logo

「今」を紐解くために ~テクノロジーの歴史を振り返る②

デザイン経営時代のブランディング アートが変える新元号の社会

 つまり、20世紀は企業の時代だった。大量消費前提で、大量にモノを作らなければならない。だから組織をピラミッド型にして、上司のいうことが絶対となった。入社したての小僧が思いつきで何かはじめられないような構造が効率よかったんです。イノベーションは起こらないようにしてたといえます。効率的にたくさんモノを作らなきゃいけませんから、イノベーションが起こると無駄なコストがかかって経営者も何かと困るんですよ。変わった奴がいると、それだけで生産性が悪くなってしまうんです。

 ところが、インターネットが出てきてから、その構造はがらり変わった。スマホで、C to Cで、お客同士が車を乗せたり、泊まるところを見つけたり。そうすると、移動や旅、宿泊はなくなることはありませんが、中抜きが起きて、ホテル経営とかタクシー経営、運輸会社経営はもう不要になる。銀行なんかもキャッシュレスになってきたら、もういらないですよ。 20世紀型の「上意下達の組織」であれば必要だったんでしょうけども、インターネットで社会構造がフラットになって、シェアエコノミーの時代になってくると、構造そのものが全く変わってきます。縦社会が横社会になったんです。

 つまり、社会が多様になってきた。この「多様になってきた」ということを深く認識するために過去を遡ったんです。この共通理解がないと、たとえば学生が就職する際、紋切り型の「大きい会社に入ったほうがいい」「名のあるデザイン会社に入ったほうがいい」では、世代間で分断が起こります。生まれた時から当たり前のようにネット環境があるような学生から見ると、「先生、何言ってんの?」という誤解を招きかねないですよね。そもそも今は、社会構造が根底から変化している時代です。

(後篇へ続く)

TOPへ