logo

データを積み上げる面白さ

デザイン経営時代のブランディング 「教えるセンス」を身につける

福田:それが2社目のアクセンチュア(世界最大の総合コンサルティング会社)ですね。当時はあまりコンサルティング会社からコンサルティング会社に転職する人はいなかったと思いますが、なぜそんなに経営戦略コンサルティングにハマったのでしょう? まずBCG時代に、いちばん面白かった仕事から教えてもらえますか

三谷:一番最初の仕事ですかね。民営化直後の大企業が始めてつくる「中期経営計画プロジェクト」でした。「経営ってなんだ!」「オレたちは本当に生き残って行けるのか」という。

福田:それ、インフラ系の企業ですよね。普通に考えたら、生き残れそうですけども。

三谷:そうでもなかったんです。分割民営化されるときに、各企業とも事業規模にかかわらず利益は100億円と監督官庁によって設定されていました。メチャクチャです。その企業は売上が1兆円もあったのに、利益率1%でどうにかしろとなったのです。

福田:それは苦しいですね。

三谷:えぇ、みなさんとても危機感を持っていて、「生き残りのための中期、長期の経営計画をしっかりと立てる」というプロジェクトでした。でも、入社してまだ2~3か月の私が分析して出した売上・利益予測(今期の利益は想定の7倍になる)は、クライアント側から一蹴されました。「あまりに楽観的すぎる! こんなことはありえない」と。でも社内的には信じてもらえたので、最終的には「楽観ケース」として採用されることになりました。実際、そのプロジェクト終了の半年後、その期の決算が出たんですが、私の予測通りになりました。

福田:面白いですね!

三谷:その企業の投資姿勢や事業の方向性を変えるぐらいのインパクトがあったので、その後の継続プロジェクトにも繋がりました。分析の力って凄いなと感じましたね。

福田:そういう分析をされるときには、事前に何かの仮説を立てるのでしょうか、それとも基本的なデータに基づいて組み上げていくのでしょうか。

三谷:私は後者ですね。あまり仮説は持たず、少ないデータでもいいので見つけてきて、そこから何か新しいことを見出すのが好きです。

福田:そこは理系とはまた違う、右脳的、アーティーなセンスをお持ちなんでしょうね。面白い。

三谷:そういう面が、BCGでも評価してもらっていたのでしょうね。ただ、9年半のBCG時代の中では大失敗もありましたよ。

福田:でも、あまり大失敗しようのないフレームをご自身で作っておられたんですよね。

三谷:いやいや、そんな簡単ではなかったです(笑) 最初の1年、私があんまり楽しくやっていたから、上司が「じゃあ、もっと任せてやるよ」ってなって大爆発。大手IT企業のある事業本部の全体戦略プロジェクトで、3つある事業部のひとつを丸ごと私が担当することになりました。事業規模的には3事業部の中で最少でしたが数百人が働き、独自商品が乱立するビジネスでした。中間報告までの3か月間、くらい相当頑張ったんですが、結局ダメでした。100個ぐらい独自商品があって、各々が全部違うので、とても自分一人では分析も戦略立案も出来ませんでした。

福田:それでギブアップされた?

三谷:それが、「ダメでした」と上司に報告したところ、「中間報告で決着をつけるつもりだったけど、最終報告まで延ばしてやる」って、もう3か月もらっちゃったんです。内心「もう勘弁して!」みたいな気分だったんですけども(苦笑) 、ギブアップっていえなくて。それは失敗といえば失敗だったんですが、おかげで残り3か月で、大失敗から普通のところまではもっていけました 。

福田:それでもすごいですね!

三谷:その失敗経験が、私にとってはすごい財産になりました。それまでは割と上手く行っていたので、「こういう分析をしよう」「結果はこうまとめよう」で済んでました。コンサルタントになって1年目、土日は一度も働いたことがないぐらい、楽しくやってました。でも、2年目にそんな壁にぶつかったお陰で、引き出しが一気に増えました。「これもダメ、あれもダメ」ってなったら、別の方法やアプローチを探すじゃないですか。分析的にやるのがダメならインタビューでやろうとか、トップダウンの演繹的に何かやろうとか、あらゆる手法を試すことになりました。それ以降は怖いものがあまりなくなりましたね。「どんなテーマでもなんとかなる」と。

TOPへ