【ニューメディアが拓く面白人生!】8ミリ映画から衛星放送、iモード、スマホアプリまで。ニューメディアの可能性を広げるのが醍醐味。@慶應義塾大学 メディアコミュニケーション研究所【後編】

ニューメディアが拓く面白人生!
【後編】

日時:2016年6月15日(水)
場所:慶應義塾大学 メディアコミュニケーション研究所

福田 淳氏

ソニー・デジタル エンタテインメント 社長
1965年生まれ。日本大学芸術学部卒。アニメ専門チャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント バイス・プレジデントを経て現職。

構成: 福田千鶴子 撮影:越間有紀子

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ニューメディアが拓く面白人生!【中編】

まだ30分くらい残っていますので、質疑応答の時間に充てないと思いますが、何の質問も出ないと淋しい(笑)ので、こちらから指名しますね。何でも構いませんので、絶対に一言は発言してください。

女性1:今、若い人が圧倒的に新聞を読まなくなっています。情報が集まる場所がSNSに移っていく中で、新聞はどうしていけばいいでしょうか?

福田:確かにメディアが発達して、E Ink(電子ペーパー)だなんだ言われていますが、電車に乗っていると、タブロイド紙読んでいるおじさん、減っていない気がします。それは、なぜか。電子デバイスより紙の方がはるかに便利だからです。何が便利って、読み終えたらポイッと捨てられること。逆に、捨てられる電子デバイスって聞いたことないですよ。KindleのOasisが出たとき「軽いよ」と話題になりましたが、それでも本1冊よりずっと重い。しかも、3万7千円もして捨てられないんですよ。こんな不自由なものを「未来のメディア」なんて言ったら、未来の人に失礼ですよね。もちろん、トム・クルーズの近未来の映画みたいに、通勤電車に乗る前にE Ink買って、車内で読んで、降りたらゴミ箱に捨てられるような値段になるかもしれない。でも、僕は新聞というか新聞のエッセンスって絶対になくならないと思っています。テキストの力は偉大です。問題はビジネスモデルにあるような気がしています。

下北沢に「B&B」という本屋さんがあるんですよ。ビールが飲める本屋ということで、小さい店なんですが、毎回満杯なんですね。これを経営しているのが博報堂ケトルの嶋さんという人で、あくまでも趣味で営んでいるそうです。彼の人脈で、新刊出した作家がトークショーやったり、常に楽しい企画が盛りだくさんなんですよ。お会いした際に、「どうやって宣伝しているんですか?」と聞いたら、「下北の駅前でチラシ配りました」って。ハイエンドの広告代理店を経営されている嶋さんが「チラシ」っていうローテクの広報活動しかしていないんです。それなのに、この盛況ぶりって、驚きですよね。

社会って決して画一的なものでなく、いろいろなアイデアの余地があるんです。僕のあまのじゃく的発想で言うと、新聞にはまだまだ未来がある。もちろん、今と同じ形態かどうかはわかりませんが、アイデア次第で生き残る道はいくらでも探れると思っています。