ライフシフト - 寿命100年の時代をどう生きるか(後篇)
構成:福田 千津子
撮影:越間 有紀子
日程:2017年10月3日
安藤 哲也氏(写真右)
1962年生まれ。二男一女の父親。出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、2006年にファザーリング・ジャパンを設立。「育児も、仕事も、人生も、笑って楽しめる父親を増やしたい」と、年間200回の講演や企業セミナー、父親による絵本の読み聞かせチーム「パパ’s絵本プロジェクト」などで全国を飛び回る。子どもが通う小学校でPTA会長、学童クラブや保育園の父母会長も務め、“父親であることを楽しもう”をモットーに地域でも活動中。 2012年には社会的養護の拡充と児童虐待・DVの根絶を目的とするNPO法人タイガーマスク基金を立ち上げ、代表理事に。現在、寄付集めや全国で勉強会の開催を手掛ける。 2017年10月には「人生100年時代をデザインする」をコンセプトに、ライフシフト・ジャパン株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。
福田 淳氏(写真左)
ブランド コンサルタント。1965年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。衛星放送「アニマックス」「AXN」 などの立ち上げに関わったのち、 2007年にソニー・デジタルエンタテインメント創業、 初代社長に就任 (現 顧問)。 2017年、ブランドコンサルタントとして独立。NPO法人「タイガーマスク基金」の発起人をはじめ、 文化庁、経済産 業省、総務省などの委員を歴任。 2017年、新しい世界を切り開 くリーダーとして、カルティエ提供「チェンジメーカー・ オブ・ザ・イヤー2016」を受賞(日経BP)。近著に『SNSで儲けようと思ってないですよね?: 世の中を動かすSNSのバズり方』(小学館)がある。
ローリングストーンな感じの人生を楽しんでほしい
福田:僕、経営者だけど、利殖とかお金儲けとかって殆ど関心ないんですね。先日たまたまNetflixでビットコインのドキュメンタリー映画「Banking of BITCOIN」(2017年 ? 監督クリストファー・カヌーチアリ)を見たら、あれはやっぱりリベラルの発想で、最初に生み出した人たちの思いって「国って何?」って概念を問うことだったんです。私も大阪に生まれただけで、いつの間にか日本国の国民になっちゃったわけですよ。戦中に生まれてたら。ある年齢になったら戦争は行かなくていいけど、稼いだら、ちょっと税金払いなってなる。そしたら、支払った税金の分だけ、その国の国民感をもっとしまうことになる。
そして改めて「国って何か」って考えると、その土地に生まれた人たちから税金取って、通貨を出す権限がある。会社にとって、人雇ったり、お金融通したり、クビにできることが最大の権限だとするなら、国の最高の権限とはお金を発行することだと。でも、ビットコインはそうじゃないから、もっとピュアに国民目線の民主的な「C to C」の通過を作っちゃおうよと。UBER乗るようになれば、タクシー会社要らないみたいな、Airbnbあればホテル要らないみたいな、ネットの力で中央にある「B」がなくても、「C to C」モデルが出来るようになった。この映画見た後、1万円分だけビットコイン分何か買ったんですよ、普段は絶対そんなことしないんですけど。そしたら、毎日レートが出てくるんですけど、いま4.5万円ですよ。ビットコインもビットコインとして流通してる分には民主的だったけど、普通のカレンシーに交換可能になった段階で単なる投機商品になっちゃった。
多様性を阻害する要因って、もちろん言語とか人種とかあるのかもしれませんけど、それ以上に国とか会社が決めた概念によって僕らの自立性は奪われている。だから、100年以上は生きることを前提とすると、ライフシフトの時代、ライフシフターであろうと思う人は自分の好きなことを見つけなきゃ駄目と思うようになったんですね。みんな一刻も早く、会社辞めなきゃ。1人で生きてきた有機的な人たちが結び付いて生きていくイメージなんです。今の段階ではまだ勉強不足でぼんやりしていますが、そういうことを考えています。
安藤:まさにライフシフト・ジャパンでもC to Cやりたいんですよね。ライフシフト成功した人に「ライフシフター」として登録してもらって、これからライフシフトを企んでいる人が「この人に会って話が聴きたい」と思ったら、1時間の面談を申し込んで会う。それで納得したら、料金が発生します。
福田:僕の仕事も日々、そんな感じになっています。本業もう関係ないです、興味ないから。8時間ここにいて、1時間に1人誰かお客さまが来るとして、8人と会っていると、夕方ぐらいになったら疲れてくるんですよ。何だろうと思ったら、みんな金を出せか人を紹介しろとかなんですよね、この年齢になると。お金出すことよりも、何でそれ必要なのか、紹介の場合はなんでその人に会いたいのか、やっぱり聞くじゃないですか。ディスカッションの際、こういうライフシフター的センスがいるというか、出てきますよね。だから、それを一つの事業にしようっていうのはいいかもしれません。
安藤:ライフシフター自体も、多様な人に出会うとまた別の道にシフトしていく可能性も出てくるので。まさにローリングストーンな感じの人生をみんなに楽しんでほしいんです。
福田:ある年齢を積み重ねて人脈できると、人に頼られる。それは相応のバリューがあるということだから、お金なのか何かわかりませんけど、いやらしくなく価値に変えていいのかもしれませんね。
安藤:そうですね。お金もありますが、あとは誰かの人生をちょっと面白く変えたぜ、みたいな気分。
福田:それ、もしかしたらサロンの発展系かもしれませんね。一時期ネットサロンとかいってホリエモンが1万円取って1000人とか。あれはその人のキャラに負った何かじゃないですか。それイメージなのかな。有料サロンみたいな感じもありかもしれんね。
安藤:そうですね。今、オンラインのセミナーなんかもやりつつ、シフターたちがC to Cでちょっとこいつ面白いからシフトさせようか、責任は取らないけどな、みたいな。 何かつくるんだったらみんなちょっと応援してあげるぐらいな感じ。 重要な他者っていうかね。出会っていないだけで、実はいるんだよって。その情報を見て、ちょっとこの人に会ってみたい、自分にどうひも付いてるのかって。何も得られないかもしれないけど、会ってみたがるような人をそろえたいんですよ。