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「クラウドファンディング=社会貢献」だけじゃない

経営者の在り方ってなんだ!?~投資家の琴線に触れるヒント  Talked.jp

福田:CAMPFIREのスタートはいつでしょうか。

家入:2011年なので東日本大震災の年です。

福田:震災がきっかけですか。

家入:準備自体は震災前から、2010年の後半からでした。僕、自分でもプログラミングのコードを書くので、最初は映画とか音楽とかアートとか、そういうカルチャーを応援するプラットフォームを作ろうと思っていました。でもオープンするギリギリのタイミングで震災が起きて。あの時、あの瞬間に、価値観とか日本における文脈みたいなのが、たぶん変わってしまったんだと思うんですけども。「これはクラウドファンディングでアートとか言っている場合じゃない」となって、震災復興のプロジェクトがたくさん増えたんです。日本のクラウドファンディングって、震災復興によって伸びた部分もあったので。

福田:READYFORとかですよね。

家入:そうです。だからクラウドファンディングって、社会貢献のために使うものっていうイメージがすごく強まりましたよね。

福田:発明とかじゃなくてね。

家入:そうそう。海外のKickstarter*3)とかIndiegogo*4)とかは、一見くだらないものもたくさんあるんですよ。「とにかくでかい穴を掘りたいからお金を集める」とか。でも僕はそういうのも多様性だと思うし、面白いと思うんですけど。日本のクラウドファンディングも、最近ではかなり多様にはなってきましたけどね。ちょっと前までは、ちょっと変わったプロジェクトやろうとすると、「クラウドファンディングをそんなことに使うとはけしからん!」っていう意見もあったりして。

福田:そうなんですか。

家入:もちろん僕らはしっかり審査をしますので、プロジェクトの目的によっては通せないものもありますけども。でも基本的に、僕は等しく、すべてのチャレンジが尊いと思っているので。すごいビッグプロジェクトなのか、個人的なスモールプロジェクトなのか。その「いい悪い」を決めるのは僕らじゃないし、それを応援したいと思う人が一人でもいるなら、それは本当にプロジェクトとして支えるべきだろうなと思いますし。

福田:すごいお考えだと思います。僕なんかは全然、子どもっぽくてダメだなと思います。ただ人を笑わせたい、楽しませたいと思って、一番効率的だと思ったハリウッドの映画会社に行ったんです。「でかくてすげえじゃん」とかね。ところが40歳を過ぎたあたりから、笑うどころじゃない人、笑っていない人が一定数、いるよなって気づいて。それでその後、前述の(坂之上)洋子さんと一緒に、アフリカ支援をやったり、ご縁のあったNPOの支援をしたり。そこに至るまでの自分の気付きが遅すぎた。でも家入さんは「こんな仕組みを作ったら、一歩踏み出せる人がいるよな」っていう発想を持つのが早いですよね。

*3)2009年に設立されたアメリカ合衆国の民間営利企業で、クリエイティブなプロジェクトに向けてクラウドファンディングによる資金調達を行う手段を提供している。

*4)2008年に設立されたサンフランシスコを拠点としてクラウドファンディングによる資金調達を行う手段を提供している。

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