テレビはオトナのたしなみ!という提案。

テレビはオトナのたしなみ!という提案。(後編)

構成:井尾 淳子
撮影:越間 有紀子
日程:2018年2月23日

角田陽一郎氏(写真左)

バラエティプロデューサー。1970年千葉県生まれ。94年東京大学文学部西洋史学科を卒業し、東京放送(TBSテレビ)に入社。 『さんまのスーパーからくりTV』でディレクターに昇格し、さらにチーフディレクターとして『中居正広の金曜日のスマたちへ』を立ち上げるなど、数多くのバラエティ番組の制作を担当。 2016年12月にTBSテレビ退社。 明石家さんま氏、いとうせいこう氏、水道橋博士氏、お笑い芸人キングコング西野亮廣氏など、人気芸能人や著名人と親交を持ち、現在も革新的なアイデアを基に、さまざまなビジネスを創造し続けている。 著書にベストセラーとなった『「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史』(アスコム)や、『オトナの! 格言』(河出書房新社)『成功の神はネガティブな狩人に降臨する~バラエティ的企画術~』(朝日新聞出版)『「好きなことだけやって生きていく」という提案』(アスコム)などがある。近著は『13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤』(ぴあ)。

福田 淳氏(写真右)

ブランド コンサルタント。1965年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。衛星放送「アニマックス」「AXN」 などの立ち上げに関わったのち、 2007年にソニー・デジタルエンタテインメント創業、 初代社長に就任 (現 顧問)。 2017年、ブランドコンサルタントとして独立。NPO法人「タイガーマスク基金」の発起人をはじめ、 文化庁、経済産 業省、総務省などの委員を歴任。 2017年、新しい世界を切り開 くリーダーとして、カルティエ提供「チェンジメーカー・ オブ・ザ・イヤー2016」を受賞(日経BP)。近著に『SNSで儲けようと思ってないですよね?: 世の中を動かすSNSのバズり方』(小学館)がある。

好きなことをして生きる3つのヒント
「親子関係」「師匠の有無」「読書体験」

福田:角田さんは、「排除したら食っていけない」と仰るけど、これまでもすごい力で排除されてきたじゃないですか。こんな言い方で失礼かもしれませんが、角田さん、東大を出てTBSに入社したのに、「バラエティプロデューサーとしてフリーになりました」って言ったら、ご両親が心配されたって。

角田:そうそう。両親が心配したわけですよ。「東大に入ってTBSに入って、なんで辞めるんだ?」と。そんないいところに入ったのにって。で、僕は言ったんですよ。「悪いところに入っていたら、辞めるのはいいのか」と。「頑張って勉強して、頑張っていい会社に入ると自由はないのか」と。もう恒例のおやじとけんかするっていう。

福田:ご両親の仰ることも、ある時代には、ある程度は正しかった。

角田:フレームがある時代だったから。

福田:コンプレックスのベースにあるのは、自己規制だと思うんですよね。僕のITの後輩で、「新規事業が苦手」という社長から相談受けたんですけども。「福田さん、いつも楽しく新規事業やっておられますけど、どうしてですか」って聞かれたので、「えっ、ただやるだけだよ」みたいな話をしたら、「僕は子どもの頃から、母親から“余計なことはするな”って言われて育てられたから、今社長になったけど新しいこと、余計なことができないんですよ」と。それはまぁ、あるかなぁと思いましたね。

角田:ありますね。

福田:やっぱり自分と親との関係は大きく人格に影響してくるなと思って。僕自身は子どもの頃、親に叱られたり、ああしろこうしろと言われたりしたことがほとんどなかったんです。「じゃあ、親子関係が悪かったら成功できないのかよ」って言われるかもしれないけど、もちろんそれだけでもない。たとえ親子関係があまり良くなくても、人生で「師匠」と呼べるメンターと出会えたかどうか。そしてもうひとつは、人生でいかに「本」を読んだかどうかも左右すると思っています。

角田:人生の師匠っていうことについて、僕もさっきの新刊に書きました。これまでの「上司と部下」的なものは、これからは「師匠と弟子」的な関係にならなきゃダメだと。上司と部下だと、22時以降は仕事を頼めないですよね。働き方改革だから。一方の師匠というのは何かといったら、会社のスキルを学ぶのではなくて、「人生を生きるためのスキルを教える師匠なんだ」と。だからその師匠をリスペクトしていれば、「部下」じゃなくて「弟子にしてください」となるわけなんですよ。すると「今回のこの案件は、絶対ちゃんと成し遂げたほうが良いから、今日は徹夜でやろうぜ」と言われたら、すぐに「分かりました!」ってなる。弟子が「やる!」と思えば、22時以降だって働いていいと思うんです。だから「上司と部下」っていうフレームで切り詰めて、「22時」というフレームで時間を絞って、「残業時間は何時まで!」みたいなことで働くのって、資本主義のフレームがしっかりしている時代ならいいけれど、フレームなき時代に働き方改革でもないだろうと思って。

福田:そうですよね。22時になったら上司が「帰れ」と追い出し係をやる働き方改革なんて、ナンセンスすぎて、まったく意味がない。それに徒弟制だって、ミケランジェロの時代からありましたよね。でも僕らはたまたま2018年という「フレームなき時代」に生きてしまっているから、歪みが起きているんでしょうね。20世紀って異様な時代で、異様に発達しすぎてしまったから、頭の発達に対して体が追いついてなかった疲れが21世紀に出てきているのかもしれない。

TOPへ