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新元号で日本はどう変わる?

デザイン経営時代のブランディング ~WASEDA NEOトークセッション第2回~

福田:ここで次のトピックスに行きます。物の売り方、街の見方ときましたけども、「新元号がもたらすイノベーション」について。今って平成最後だから、やたら平成30年を総括する番組とか特集ばっかりじゃないですか。
私は日本人に21世紀は来てないと思っています。世界が21世紀の到来とともに、ネット革命が起き、たくさんのイノベーションが起きた。でも、日本ではシャープが大本企業に買収されたり、東芝がつぶれそうだったり、いろいろありました。

21世紀(2001年)はご承知のように、ネット回線がダイヤルからADSLになって高速光回線になりました。1992年に アメリカ・コ?ア副大統領が提唱した「情報スーパーハイウェイ」が実現。20世紀を代表する企業シアーズもつぶれ、トイザらスもつぶれ、製造業からGoogle、Facebookなどの新しい情報産業が台頭しました。すごい変化があったわけですよね。
ところが日本では、なにも起きなかった。僕が前職でいたソニーもずっと低迷にあえいでいました。
でも僕は今年、「新元号になったら、日本は変わるぞ」って言ってるんですよ。「テレビの見過ぎじゃない」って言われるんですけど、さっきの渋谷の話が証左なんですよ。つまり人は、人が決めたことに対して反応するんですね。アメーバは無条件反射ですけど、人間って言葉が分かることや本が読めることが最大の特徴だと思います。(大三次条件反射という) だから「新元号になるぞ」って言ったときに、初めて国民の頭の中で新時代のスイッチが入るんじゃないかなと思うんです。日本は西暦よりも元号できたから乗り遅れてしまったけれど、新元号が来たらスイッチ入るんじゃないかな、と。

柳瀬:どんなスイッチが入りますかね。

福田:4月から安倍政権の入管法改正法案で、30万人ほどの移民が来ますよね。労働力が足りないから。この労働力が足りないっていうのは今に始まったわけじゃないんでしょうけども。今、世界的に「AI、AI」っていいますよね。知的な職業まで含めてAIが取って代わるって。でも日本はAIを選ばなくて、ベトナムと中国の若い労働力を選んだように見えます。

柳瀬:今、ネパールの方、すごく多いですね。バングラデシュやパキスタン、ベトナムの人も増えています。近所のコンビニに3人ぐらい顔見知りがいますよ、バングラデシュ人。

福田:今、夜中のコンビニでも居酒屋でも、日本人1人もいませんよね。

柳瀬:いないのが普通だったりします。

福田:移民じゃありませんって言うけど、定義的には「1年以上滞在すると移民」なんです。でも、入管法改正法案で30万人が5年間来日し続けたら、150万人ですよ。日本の新成人が100万人を切っているのに、すごい勢いで外国人が来ちゃうんです。

柳瀬:既に今年行われた新宿の成人式、半分外国人ですよね。

福田:その人たちが5年たって、日本人と恋に落ちないわけがない。で、家族ができます。そこで「はい5年たちました。2023年3月末で帰って。ビザ切れたからね」で解決しますかね。かつての労働力不足のときも、ブラジルとの日系人で同様のことをやって同じ問題が起こったんです。「帰りの飛行機代の30万円を出すから、日本から出て行け」っていう法案があったんです。でも、家族がいるんですよ。子どもも日本で育ってるから今更ポルトガル語、話せませんよ。それでさすがに人道的にひどいということになって、「ある一定の期間になったら、日本に戻ってもいいです」っていう法案に変わったんです。多分それぐらいの変節は政治もあっていいと思うし、5年後は彼らを帰せないのではないか。
つまり、この島国のおかげで国境問題が他国より深刻でない日本にも、ようやくイノベーションが起きる条件が揃ってきたのではないかと期待しています。

柳瀬:面白いですね。

福田:だから新元号が、人間に与える影響が意外に大きいんじゃないかと。

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