メデイアの変化から読み解く消費モデル①
〜シェアエコノミーという考え方〜
昨年、アメリカのバラエティ誌が1500人のティーンに、「あなたにとってのスターは誰か?」という調査をしたところ、驚くべきことにトップファイブが全員ユーチューバーだったんです。日本でいえば、ヒカキンですね。6位は誰かというと、すでに事故で亡くなっている『スピード』に出演していたポール・ウォーカーだったんです。亡くなったハリウッドスターが1位なんて、なんて皮肉な結果になったんでしょうか。でも、これが現実なんですね。ソーシャルマーケティングのリーダーが、ソーシャルスターであるとするならば、その流れを作っているのは「共鳴共感」ですよね。友達が行ったというから、あのイベントに行こうかなと。恋人に誘われたから、じゃあ、あそこへ旅行に行ってみようと。つまり、テレビやマスが発信している情報は頼りにしなくなってきている。当社で「ヒカキンが薦めるなら、『ドラえもん』の映画を見に行こうかな」というプロモーションを手がけたところ、実際にそういう効果が出て、興行収入が9億円アップしたという結果を出しました。日本はまだまだ「マス」が強いので、AKBとか嵐とか、テレビアイドルの人気が高いんですね。でも僕は、みんながスマホの画面をこれだけ見ているということは、スマホからこれまでのアイドルとは違うスターがたくさん出てきて、そのコミュニティ、その密林でしか知られていないソーシャルスターがどんどん出てくるんじゃないかと考えています。
日本ではまだ、「CMの予算が余ったから、ちょっとYouTube作ってみようか」という事例がほとんどですが、アメリカでは本格的なバイラルムービー(*1)の短縮版をYouTubeだけでなく、テレビCMとして流したりします。ファッションブランドのラコステも数十億円かけてバイラルムービーを作ります。今後そういう潮流も盛んになってくるでしょう。
消費モデルも変化をしていて、「トヨタでもキャノンの商品でも、買ってしばらく経つとすぐに新モデルが出て古くなっちゃう」と。これからは「所有」ではなく、「利用」でいい。ホリエモンに言わせると、言い方は感じが悪いんですが、「俺、寝られれば家なんか要らないよ」と。僕はそうは思わないんですが、本当はそこまでいくのかもしれませんね。「車が空いてるから貸すよ」というのが「Uber」あり、「俺んち、エクストラルームがあるからみんなに安く貸すよ」というのが「Airbnb」だったり、つまりシェアエコノミーが浸透してきた。
(*1)バイラルムービー
“Viral” =「ウイルス性の」という意味。インターネット上の口コミ(ブログ、SNS、BBSなど)で話題となることを目論んで制作された動画コンテンツ。主にYouTube、Facebookを通じて配信される。