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ソーシャルメディア時代だからこそ、「極め人」より「フラクタル」 Talked.jp

福田:フラクタルな活動をしていることについて、絵美ちゃん自身は悩んではいないかもしれないけど、周りから「あなた一体何やりたいの」と言われたりしない? 悩ましい環境に身を置いたこともあるんじゃないかな。

草野:悩んでいましたよ、ずっと。でも、ようやく最近は悩まなくなってきました。そもそもの活動のスタートは、17歳の時に始めた写真だったんですよね。

福田:フォトグラファーでもあったな! つまり最初は、写真の世界を目指していたということ?

草野:「写真がやりたい」というよりは、高校生のうちにいろんな世界を見ておこうと思ったんです。それならば普通のアルバイトをやるよりも、写真をやってお小遣いを稼ぐ方が効率もいいし、いろんな人に会えると思って。今も、ニューヨーク州立ファッション工科大学付属美術館「Japan Fashion Now」には、自分の写真が貯蔵されています。

福田:すごいな。高校生で始めた写真の活動というのは、主にどんなことを?

草野:東京ファッションウィークに飛び込んで、いろいろ撮りました。CNNとか、そこで名刺交換をした海外の記者の人に自分のストリートスナップを送って、それである程度バイト代を稼いでいたんですね。その時に、「高校生フォトグラファーが珍しい」ということで、雑誌で紹介されたり、連載を持ったりし始めたんですけど、写真にそこまで情熱がないから、情熱を持って活動している人には当然かなわなくて。その後は自分でラジオ番組をやったり、いきなり音楽始めてみたり。

福田:自分でラジオ番組始めるっていうのは、どうやって?

草野:アシスタントとしてついていたフォトグラファーの方がラジオをやってるからって、呼ばれたのが最初のきっかけです。学校の近くにあったFMのレディオ湘南なんですけど、そこで1年間アシスタントをして、その後渋谷FMで番組を持たせてもらって。メインパーソナリティと、構成作家を務めました。ラジオも、そもそもは写真のつながりで呼ばれたんですが、当時は自分でも何がやりたいのか、よく分からなくなっていましたね。在学時にITベンチャーを起業して、CEOも経験して、アプリ制作に携わったりしましたけども、続きませんでした。

福田:それは何歳のときに?

草野:大学の時だから、20歳ですね。で、その後は就職しようってなって、IT関連の方に相談したんです。そうしたら「絵美ちゃんみたいなアーティスティックな人は、こんな数字の世界に向いてないよ」って言われました。就職活動をしていたのは、2013~14年ぐらいの時ですけど。

福田:もう、ばりばりスマホ時代になっている時だ。ソーシャルメディアのインフラが完全に整っている時に、就職の時期だったということだよね。

草野:はい。で、就職活動をする中では、フォトグラファーの人にも相談しました。「写真はしばらくお休みしていたけど、続けたいです」と言ったら、「こんなに既にいろいろやってるんだから、フォトグラファーなんか向いてないよ」って言われて。

福田:いろいろやったからこそ、むしろ向いているんじゃないのかなぁ。

草野:でも、そうは言われなかったんですよね。それで、「じゃあ広告関係のディレクターの弟子になったら」という流れで、広告の方も紹介してもらったんですけど。今度はそこで「あなたはアーティストだから、むしろ発注される側じゃないの?」って言われたんですね。

福田:社会って徒弟制だから、そこから始めるのが正しいと思ったということ? 今の絵美ちゃんからは、ちょっと違和感があるような行動に思えるけど。

草野:「各分野のプロフェッショナルに、まずは聞いてみよう」と思ったんです。ファッションの人にはITに行けって言われて、ITの人にはファッションに行けって言われて。写真の人には広告に行け、広告の人には写真をやれって言われて。

福田:いろんな大人に聞く度に「あなた、それ違うよ」と言われてしまったと。

草野:はい。人の言うことを聞いていたら、全部ちぐはぐになっていって。だから、もう人のアドバイスは聞かずに、今一番面白い方向に行こうと思ったんです。いろいろやりたいことがある中で、最低二つは続けてみようって。それで始めたのが歌謡エレクトロユニットの「Satellite Young」です。これが結局、いろいろやった中でいちばん長く続いている、私の軸の活動になりましたね。

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