『21世紀は、リビング・イン・スモールコミュニティー』(対談 山口 揚平 氏 × 福田 淳 氏) | Talked.jp

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山口:だから、リビング・イン・スモールコミュニティーのコンセプトは、デモクラシーや民主主義とコミットしやすくなりますよね。一方でグローバルコミュニケーションも持つ。今回スコットランド独立できなかったにせよ、日本もそのヨーロッパもこれからどんどん小さくなっていく。地方再生とかやってますよね。あれは多分小さいそのコミュニティーがどっしり創ってゆく。
人は、土から離れて生きては行けない。その体を身体性のある土地に根ざして、緑を作っていって、もう家族とか家族制度崩とか壊しているんで、親は親として、人としてまだ生きていきたいから、子どもはコミュニティーでやっぱり育てるしかないんですよね。そういうふうになれば、親が離婚しても、子どももぐれないですよ。ヘルシンキ、フィンランドなんか私生児ばかりですけど、全然ぐれてないんですよ。トラウマとかもなく・・・。

福田:もう、そういう社会が形成されているんでしょうね。

山口:形成されているんでしょう。これから長寿化してきたら、25歳で生んだとしても、80年生きてきて、自分の人生で実践できないですよね。だから、子どもは子どもで育ってもらうしかなくて、親は親でやっぱりその自分の人生を生きてくしかない。だから、子どもを子どもとして育ってくためには、コミュニティーにアウトソースしなければならない。昔みたいにコミュニティーで、畑入ったら、隣のおじさんに殴られるというか、そういう中で育ててくしかなくて。

福田:僕、この間たまたま京都の政治家の友達から町興しのブランディングの企画を持ち込まれたんですが、すごく単純な話なんですよ。友人が言うには、どのみち、日本全体が限界集落化するので、完璧にオンラインの町にすると。もうウェアラブルとか何とかそういうことじゃなくて、町全体をオンライン化して、自助努力で成り立つようにしたいと。単純な話だけど、でも、なんかありなのかなと思って、ずっと考えているんですよね。というのも、なんかのドキュメンタリー見たときに、その舞台が限界集落なんですよ。80歳の人たちがショッピングしたり、病院行ったりするのに、タクシーもないので、60歳の人たちが大活躍するんですね。1回辺り1万円とか取るんですよ。そのかわり病院から出てくるまで待っていたり、60歳も暇なんで、結構経済的に成り立ってるんですよね。たまたまある今の高年齢者の未来像なんですけど、例えば、今うちの顧問やって下さってるコンセプターの坂井直樹さんが、「NS_CANE(株式会社カインドウェア)」っていうのを発表するのですが、それはセンサーで、盲目の人のための黄色い線を認識して、そこから外れると、つえを持ってる手に振動が来るんですよ。そのつえ使う限り、老人が町歩いていて、変な所に落ちたりしないっていう。
ちょっと前にあるメーカーが電気湯沸かし器をオンライン化するって言って、ちっともはやらなくてなくなっちゃったんですね。お湯の減りが悪いと「じいちゃん、生きているか」って確認できる。ただ、それ事後報告なんで、商品としてはあんまり良くないんですけど、発想としては面白い。だから、町を全部オンライン化すれば限界集落でも耐えられるよって、そういうセーフティーネットを一つの事例として提示するため、「僕に1年か2年、限界集落の村長、やらせてくれ」っていろんな自治体の人に言っているんですけど、そう簡単に、皆さん、僕みたいな東京にいる小僧に任せてくれませんよね。
今おっしゃったことにも、すごくヒントがありますね。だって、なんかみんな、コミュニティーで自己完結して、しょうもないじゃないですか。
限界集落の中で自給自足できるようなシステムを、最新のITを駆使して作れればいいですよね。僕らの考えたオンラインの町って、『トロン』の逆なんですよ。『トロン』ってあの中で生きている生き物の映画の話ですけど、あれをちょっと外へ出して、見える形にして成り立たないのかって考えています。ちょっと観念的すぎるんですけど、これまで僕はずっとエンタメ人生送ってきて、映画から始まって、フィルムからデジタルになって、その後はガラケーのちっちゃい3インチから今はスマホの4インチぐらいの画面を舞台に仕事して、多分僕の年齢でいったら、あと二つぐらい大きな仕事をやると思うんですけども、最後の大仕事の一つとして、限界集落をオンライン化することによって、新しいモデルを提示できないかっていうのはありますね。