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新「パブリックとパーソナル」メディア論(福田 淳 氏 インタビュー) | Talked.jp

〔図1〕「パブリック」と「パーソナル」のメディア論

新たなメディア論としての「パブリック」と「パーソナル」

福田:少し前までは4大マスメディア(4マス)が情報提供を行い、ブランディングも含め、プロモーションとしてパブリックに展開されてきました。現在はSNS の伸長で、「パーソナル」の個人が時には4 マス以上のメディアパワーを発揮するようになってきています。企業は、このパーソナルへもっと働きかけたいと考えます。そこで必要なアプローチ は、B とC の間をブリッジするもう一つの「B’」の役割が重要になってきているんです
〔図1〕。

── これまではパブリックとパーソナルの関係が、上から下へ流れるような一方的な関係でしたが、SNS を持ったパーソナルとなり、それぞれを結ぶという役割がクローズアップされてきたのですか。

福田:別の視点で言えば、大量生産・大量消費という一般消費財型のプロモーションから、消費者の声をどう活かすかに変わってきています。某小売業のトップが教えてくれましたが、いま話題となっている靴は一人ひとりのお客様の声でアレンジするという手法で展開しているらしいのですが、「そこには反響という手応えがある」と話されています。SNS で拡散する時代に、ユーザーの意見に企業が耳を傾け、時にはモンスタークレーマーの雑言などもどこまで寛容に聞けるかが企業に試されています。

── プロモーションでは広告会社が活躍しました。さらに変容していくパブリ ックとパーソナルの間を誰が、どうブリッジすると考えていますか。

福田:まず、SNS・スマホ世代をどう見るかが重要です。この世代は、企業からのメッセージを無視することに慣れていると考えた方が良い。そのために企業がメッセージを伝えるには新しいストーリー性が必要で、アイデアが勝負です。こうした着眼とアイデアあふれる人たちは、これまではビジネスにならなかったので、ライターとか業界の異端として携わってきているのです。ボクはこれを「コンテンツマーケティング」と考えており、 具体的には〔図1〕のB2B2C の2 つ目の「B」が、その役割です。ただ、あざとさは見破られます。

── その役割が福田さんですか。

福田:先日、JINS 社の田中仁社長と話す機会がありました。2011年に発売したブルーライトをカットする「JINS PC」メガネが大ヒットし、400万本を突破し、まだまだ売れているのです。このJINS PC は、スマホなどのディスプレイ世代の子どもの目の健康に係わってきます。そこで、JINS PC のプロモーションをどうするか。薬事法などの規制 がありますので、一つのアイデアとして話したのは「目の健康も考えましょうと新たなメディア論としての「パブリック」と「パーソナル」いうキャンペーンの絵本を作り、それを歯医者などの待合室に配る」というストーリーです。こうしたストーリーのアイデアを提案するのがコンテンツマーケティングです。

── コンテンツマーケティングのイメージが少し見えてきました。

福田:ですが、この電脳社会は一筋縄ではいきません。先日、こんな報道があり ました。スマホを見ながら歩いていた子どもが駅のホームから転落して、すんでの所で助かったという事故でした。この少年が「気が付いたら床がなかった」と話したそうですが、ボクは「意識のなかに床がなかったではないか。つまり電脳社会は、バーチャルに入り込んでいるので実社会との関係性がなくなってきている」という気がしてなりません。どういうストーリーで企業や社会からのメッセージを伝えていくのか、です。ちょっとした思いつきですが、「WiFi で結界を作って、ホームに近づくとスマホが強制終了するシステム」というアイデアを鉄道会社に提案したいです。