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新「パブリックとパーソナル」メディア論(福田 淳 氏 インタビュー) | Talked.jp

〔図2〕画面サイズは「パブリックからパーソナルへ」進化

「続きはWebで」から「続きはテレビで」と伝えられるか

福田:SNS の普及でみんながカメラマンであり、みんなが出演者になったんです。そのパワーを活かすのがメディアビジネスのプロの役割です。ポイントは編集力(マーケティング力)です。つまりストーリーを用意することです。もう一つは相手から聞き出す質問力こそ、プロの際立つ役割と思います。ボクは25年続いたCNN の生放送トーク番組『ラリ ー・キング・ライブ』がありました。ライブトークの名手でしたが、その百分の一、千分の一でもいいから「質問力」を鍛えるべきです。ラリー・キング氏は消防活動を取材する場合、出火原因や被害を伝えるのではなく、「あなたはなぜ消防士として火に立ち向かうのか」というように、その人生を投影させることにこだわったと言います。

── テレビやマスメディアは「参加型への変身」と言われて久しいのですが、どこかおもねるようなところを感じましたし、つまらない番組になったと思います。放送業界に提言はありますか。

福田:テレビ局の方に進言したいことは、「続きはWeb で」というメッセージを、ネットの世界に入って「続きはテレビで」とアピールするという発想を持ってほしいということです。

── それもストーリーですか(笑)。最後に、放送業界では、4K・8K という超高精細映像の放送に関するロードマップを決め、それで進もうとしています。どう考えていますか。

福田:一つの潮目が来ていることを考えてほしい。20世紀の後半、エレクトロ ニクス技術が与えてきた未来像は、ビデオによって家庭で映画を楽しみ、ゲーム機がゲームセンターから子どもたちを家庭に戻し、ウォークマンはベッドでも音楽を楽しめる。つまり、「家庭でできる」ホームエンタメを発展させてきたのです。 ところが、音楽もマンガも、テレビ、ゲーム、動画もオール・イン・ワンのスマホでできるようになり、再び外へ出るトレンドになってきています。そうなると、ホームエンタメを高度化しようという4K・8K の放送をどう展望できるのか。 かつての茶の間イメージでは変化はつかめません。そこが大きなポイントではないでしょうか。

── 今日はありがとうございました。


掲載/『月刊ニューメディア