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「タダでいいので、半年間働かせて」戦法

熱量で壁を越えていく。「新規事業家」の生き方とは

福田:それにしても守屋さんのその新鮮なアイデアはどこから出てくるんでしょう。チャレンジの発想がどれも本当に素晴らしい。何かきっかけがあったんですか?

守屋:自分のアイデアじゃないです。日本農業のCEOの内藤祥平さんの構想です。内藤さんは新卒入社したマッキンゼー・アンド・カンパニーで、農業部門のコンサルタントとして経験を積まれて。「日本の農業を救いたい」という志があって、静岡に入ってある産物を担当したんです。で、頑張ったら静岡がド競合の県に、バーンと勝った。勝ったのはいいんですけど、そこで何が起こったかというと、「日本の農業を助けたい」と思ったのに、静岡を勝たせたことによって、競合を窮地に追い込んでしまったんですね。これでは1勝1敗になってしまう。内藤さんとしては、これでは何をやっているのか分からない、と。国内に閉じて、「俺豊作、みんな不作」ということで儲かるという、この構造自体がもう無理だ、と。それからいろいろ考えて、最終的には「海外で、果樹からいこう。まずはリンゴからいく」というところに行きついたんです。内藤さんとはたまたま縁があって、あれこれ話す中、最初は「ただでいいから、とりあえず俺を半年間働かせてくれ!」と頼み込みました。でも半年も経たない間に一応合格としてくれて、株主になって、取締役にならせてもらってっていう……。

福田:ビジネスモデルの確信的な部分は守屋さんが提案されているわけだけど、オペレーションにおいては、「パートナーシップ」を重視されているということですね。じゃあそういう方々とどうやって出会われるのでしょう?

守屋:そうですね。自分自身がいろんなことをやっているので、一意専心で、それに命をかけるという時間の使い方が……。

福田:時間がないんですよね。

守屋:そうなんです。だからできることと言えば、各インダストリで起きていることを全部、横ぐしで見るということ。この産業に手を出したら、こんなことが起きるというのは、なんとなく分かりますと。で、現場で起こる事故というのは、だいたい似ているといえば似ていますから。組織がちょっと大きくなったときのトラブルなどには貢献できるんですけど、24時間365日は突っ込めない。でもそこで、「絶対突っ込む!」と、自分ごと化されているような人と出会うと、「とにかく混ぜてくれ!」「いったん給料とか何でもいいから混ぜてくれ!」となるんですよね。

福田:「半年働かせてくれ」戦法(笑)

守屋:そうすると、タダですから、みんな働かせてくれるんです。でも、タダで働いて永遠にタダっていう人もいない。そのうち出資させてもらえたり、給料くれたり、役員にしてくれたり。

福田:でも、そうなるには、それ相応の情熱を持って半年はやらなきゃいけないわけですよね。それは時間を割く、と。

守屋:もともと面白いと思って反応しているので、別に労働しているつもりはなくて。

福田:楽しくてやられているんですね。その感覚はよくわかります。

守屋:そうです。話をしていて、楽しくて。そのうち向こうがいろいろと働く上での条件を出してくださって。毎回、そんなパターンですね。

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