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メンターからの言葉

熱量で壁を越えていく。「新規事業家」の生き方とは

福田:起業に関して、やることが楽しいから無償でも楽しいって始まっても、結果的にお金を生み出すわけですよね。そのお金で、本来決まったビジネスと無関係なことに使うということはないんでしょうか?

守屋:僕は大学を卒業後、前述のミスミという会社に就職したんですね。で、これもお伝えした社長の田口さんの下で10年働いて。その後、田口さんが個人で立ち上げた「エムアウト」という会社に、人事異動的に転職することになったんです。結果、20年くらい田口さんの下で仕事をしたので、田口さんの影響を無茶苦茶受けているんです。田口さんにはいろいろな言葉をもらったんですが、入社してすぐ言われたのが、「とにかくお前は、新規事業だけをやれ」と。なぜかと言うと、我が国には経理とか法務のプロがいると。弁護士が弁護がうまいのは、彼らが弁護ばっかりやっているから。でも、新規事業の分野は、その事業が成功するとその事業の責任者になって出て行ってしまうし、失敗するともアサインされなくなる。要は、みんな初めて新規事業に挑戦するばっかりだから死屍累々なんだと。

福田:なるほど。「だから、新規事業のプロになれ」ということですね?

守屋:はい。「お前は成功しても、失敗しても、延々と新規事業やり続けろ」ということを、まず言われたんです。

福田:素晴らしいことをおっしゃる経営者の方ですね。

守屋:結果、田口さんの下に20年間いる間に、2社に渡って17回、新規事業にアサインされました。これ、たぶんサラリーマンとして無茶苦茶めずらしいと思います。自分の意思では、できないじゃないですか。

福田:たしかに。与えられた課題に対して、ゼロから仕組みを作ることで、自己の投資資金がなくても、若くして起業のプロになれたわけですね。

守屋:だから成功しても引っぺがされるし、3連続ぐらい失敗を重ねても、4回目はまたアサインしてもらえたんですよ。

福田:すごい心の広い方の下におられたのですね。

守屋:そうなんですよ。そしてもうひとつ、さきほどの「お金の話」に関係する話として、田口さんには「金は持つな」ということも言われました。「成功して金を持つと、人はお前を見ずに、お前の後ろにあるお前の金を見るぞ」と。だから、「換金するな」と。

福田:それを守っていらっしゃる。

守屋:だから今も、大企業で働いて給料を貰って、その給料をスタートアップにつぎ込んでいるわけです。いい出会いがあって、「よし投資するぞ!」っていうときには、結構通帳の残額を見るというレベルなんですよ。自転車操業なんですよね。だから、必死で働いて、投資するお金を作って、突っ込んでいくという。うまくいってもいかなくても、とにかく頑張って。時々うまくいくと、それは無茶苦茶嬉しくて。そういうのがたぶん、好きなんですね。そうすると、ちゃんと考えたところに投資するほうがいいとなるじゃないですか。なけなしのお金だから、さすがに人間ちゃんと考えるというか。

福田:人には真似できない凄さです!

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