logo

もっと身体を使いたい
バークリーから網走の工務店へ

人生の秘訣!いまをどう生きるか?以上。 Talked.jp

福田:音楽を目指してバークリーで学んで。でも、そのあと急に宮大工、建築家になられるわけですよね。建築家を目指して宮大工をされたのか、宮大工をやってるうちに建築家になったのか、その辺の直感の経緯を詳しく聞かせてください。

坂野:最初バークリーに入った時は、インターナショナルな世界にバーンと放り出されるじゃないですか。そうすると、最初はずっと外向きですよ、ひたすら外向き。「WOW!!! この世界って、こんな風なんだ!」って外へ向いていく。で、うわーっとボディが大きくなってくると、「あれれ、ちょっと動きが悪くなってきてるぞ」みたいな感じになって……。

福田:それは、視野が広がったということ?

坂野:自分の中にある、身体的な部分に興味を持ったというのが近いですね。例えば、何を食べているのかとか、何を喋っているかとか…、身体を使いたい、もっと身体と一緒に時間を過ごしてみたい、と。
で、さらに伝統的な世界に身をおいて、時間を積み重ねてきたところにタッチしたいっていう気持ちもあって。アメリカに来てからはずっと、上に上に向かってましたからね。「あれ、あれ、ちょっと浮いちゃった」みたいな。なので、今度は逆に、もっと根っこの方に行きたいなと思ったんですね。

福田:僕も20代のときに、CM制作の東北新社で、植村伴次郎氏という伝説の創業者に可愛がっていただいて、世界中連れて行ってもらって、やっぱりそういう浮遊感を味わいました。でも、そのあと退職してから、自分を見つめ直すんですけども、坂野さんほどロジカルじゃなかったなって、ちょっと思った。そういうふうに、自分と社会の接点や距離を見つめ直すことって、今でもありますか?

坂野:今は少なくなっているかもしれないですね。そういう意味では、今の方が考えずに、ただやりたいようにやっちゃってる感じはありますね。

福田:それはどうなんでしょうか? 「いい悪い」ではないんでしょうけど。

坂野:こういう対談で何かしゃべるにしても、宮大工の世界に行ったのも、それまでの「作りだす感じ」が嫌だったんですよね。何かを作っている感じが。「表現」っていうことにも、ちょっと違和感があった。そのまんま24時間、どこに住んでいて、何を食べていて、どう暮らしていて、みたいなのが「どーん!!!!」と出ていく感じじゃないと、面白くないって思っちゃうわけなんですよ。

福田:身体を使いたいと思う概念がすごいですよね。バークリーで音楽をやって、それが出てきたっていうのが。若い頃って身体は使いますけど、もう少し無意識だと思います。

坂野:それで、身体を使うっていうことで宮大工の世界に入って、伝統的な修行の世界が面白いなと思ったわけです。で、北海道の網走にある工務店に入りました。25歳ぐらいの時ですね。本当に古い工務店。そこも、1人も知り合いはいないわけですよ。
バークリーにいた時は、ニューヨークを拠点に音楽やってたんですけど、ニューヨークってそれこそ毎晩パーティみたいな感じじゃないですか。だから、縁もゆかりもない網走の工務店で……、ちょっとわくわくしましたね。本当に田舎で、何もないんですよ。

福田:見つめ直す以外ないですね、自分を(笑)

TOPへ