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質疑応答編①~未来を知るために過去を知る

デザイン経営時代のブランディング アートが変える新元号の社会

司会者:ありがとうございました。ここからは、質疑応答の時間をとりたいと思います。まず、今日のお話を伺って、岡本学長はいかがでしょうか。

岡本学長:人間は過去の記憶がなければ次のスイッチを入れることができないですよね。日本人は、元号というスイッチを持っていると私も思います。ですから福田さんがおっしゃる、新元号によって次のイノベーションが起こるというご意見には心から賛同します。僕たちは無から有が生じると思いがちですが、本当はいろいろな過去の積み重ねや記憶のようなものがあって、普段は忘れているんだけども、次の新しいトピックスがやってきた時に、ぽーんとスイッチが入る。福田先生の話を聞いて、そのように思いました。

福田:ありがとうございます。僕は大手企業に20年ぐらい勤めていましたが、企業って面白いんですよ。3カ年計画(中期経営計画)といって、まずは3年後の目標を立てるところから始めましょう、という。ある時、僕は上司に「3年前に予想した状況は、本当に今日なのかを検証してみたい」と言ったんです。「そんな余計なことは考えなくていい」って返されましたけども(笑)。でも、明日何を食べるかも分かっていないような人間が集まって3年先を考えたって、分かるわけがない。やるとしたら、今、今日、この現在は、どういう過去が含まれた積み重ねの果なのか。考古学者が古い、昔のことばかり研究するのは、「未来がどうなるか」を考えるためなんだと思うんですよね。だから、”現在”の中にしか”未来”の要素ってない。
 最近、厚生労働省による不正統計問題について、「安倍政権に責任がある」という国民の声が8割にものぼったということがありましたよね。一番信頼してる政府の統計がいい加減だった。話題のビジネス書『FACTFULNESSS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(日経BP)をお読みになった方もいると思いますが、 この本は「人は事実をきちんと見てないよね」っていう本です。統計を信ずるならば、日本は景気指標は全部良くて、数字から見たら不景気なんて全然ないんです。なのに「不景気だ」とみんなが言うのは、あの本によると、事実を見ていない、と。あの作者に対して僕がひとつだけ言いたいのは、それだけじゃ物足りないということ。つまり人の気分というのは、その時代の気分、その場所の気分を考察しないとわからないと思うんですね。
 だから今がどういう時代なのか。今日のような素晴らしい機会をいただいたことをきっかけに、僕も今何が起きているんだろうということを、ちょっと空の上から俯瞰して眺めてみます。すると、そこから見えてくる未来がある。その中に、「遊ぶこと」が今後の重要な仕事になるというのが見えてきます。アート系の学校を卒業した人の社会的ニーズも、ますます高まるということが言えるんじゃないかなと思いました。

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