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エージェントの醍醐味とは

旅だけが ”本当”を教えてくれる ~名物作家の世界放浪記~  Talked.jp

福田:売れたんですね。

鬼塚:『アルマゲドン』とかやりましたね。松田聖子がハリウッドにオーディションを受けに行くとかいう話があって、「そんなすごい作品、どんなのだろう」と、権利を押さえて日本の出版社にオークションを出して、実際にそれをK社が買って本が出ました。映画を見て、なんじゃこりゃ?と思いましたよ。ざっくりいえば、暴走族のボスと土木作業員の親方が組んで、日本に向かってくる隕石にぶつかって地球を救うっていう。首をかしげました。今思えば彼らは計算してそういうものを作っているんですよね。つまり、最大多数に受けるものを作る。ただ、その片棒を担ぐのが、次第にすごく嫌になって。

福田:どういうことが嫌になったんですか? 

鬼塚:人のコンテンツを扱っていて、なんだか嫌になってきたんです。やっぱりコンテンツは自分のまわりで作りたくなって、独立することにしました。2001年くらいですね。

福田:10年くらいは海外のエージェントにいた?

鬼塚:5年間ですね。海外エージェントにいたことで、日本の出版業界に人脈を作ることができたんですけど。そのとき、精神科医の先生に「本を書きたいんですけど」って相談されて。当時、そういうことにはまったく興味がなかったんですけど、毎日海外から本が送られてきて、序文やプロフィールを見て、「この本は日本で売れる、売れない」みたいな会議を毎日4、5人ぐらいでしていたので。

福田:それが今のお仕事につながっているんですね。

鬼塚:「これは、ここをこうして、○○出版社の誰に持っていったらいい」とか「よし分かった。自分が持って行く」とか。そうやって持ち込んで行くと、「これいいね」ってすぐ売れたんですよ。

福田:勘どころが分かっているということですね。鬼塚さんは、ついに居場所を見つけたんだ。

鬼塚:自分には、こんな才能があるのか、これだこれだと思いましたね。世界中のブックフェアに行ってわかったんですが、アメリカの出版業界の規模って、日本の出版市場の10倍ほどなんです。彼らの出版常識はというと、だいたい作家にエージェントがついていて、そのエージェントがいろんなプロデュースをしてビジネスをします。以前、クリントン元大統領の不倫相手のモニカ・ルインスキーっていう女性がいましたよね。

福田:いましたね。

鬼塚:そのモニカ・ルインスキーの本を、とあるエージェントがものすごい力を入れて世界に向けて暴露本の版権を売ったんですよ。内容がどうのこうのよりその仕組みに興味を持って、面白いと思いましたね。でも、それが世界の常識なんですよね。村上春樹もアメリカの「ICM」という力のあるエージェンシーがついていたから、彼は世界にでれたんですね。もちろん、著者がそれだけ有能だというのもありますけどね。そういうエージェントたちの動きを面白いと思って、ずっと観察し続けて、好機を感じて…。勤めて5年ぐらいたって、潮時だなと思ったときに起業したんです。

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