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自分の価値はいくらか

会社を50代で辞めて勝つ! 逆算のキャリア戦略 ~WASEDA NEOトークセッション~ Talked.jp

福田:今日は会社を辞めて、その後の人生で実際に「勝つ」という高田さんのお話だったわけですが、ただ、いろいろな意味で「勝っていない」先輩もいます。いい話ばかりでもリアリティがないので、あえてそういうお話もしようかなと。その先輩はメディアのトップ企業にいて、定年後にコンサルタントをされておられるんですが以前訪ねて来られて、「福田君、派手にやっとるらしいなぁ」と。で、「オレみたいにメディアのことをわかってるコンサルタントって少ないよなぁ!」とか、いろんな自慢をされたんですね。高田さんのお話にも、そういうタイプの方、ありましたけど。「そうですねぇ、そうですねぇ」と僕は聞くだけなんですが、何のご用向きで来られたのかよくわからなかったんですね。そしたら最後に、「ところで、おまえの所にはコンサルの案件も多いだろうから、そういうときにちょっと俺にも回してくれよ」と。要は営業だったわけですが、「あ、わかりました。その場合、先輩においくらくらいのコンサル費を払うと、どういうことをしていただけるんですか?」って聞くと、「それはもう、おまえがいうならいくらでもいいよ」って。僕、それは絶対にダメだと思ったんですね。で、僭越ながら、生意気ですけど「いくらでもいいよと言われたら、それはタダになってしまいますよ」と。「自分が関わると、金額はこうだ」と、ちゃんと言って欲しいと。やっぱり、何かの対価に対してこれだけの時間を拘束して働く。歯医者さんだって弁護士さんだって、基本的に自分のスキルを時間で切り売りしてるわけじゃないですか。

高田:本当にそうですね。おっしゃる通り。

福田:お人好しだけでやっていたら収入ってゼロなわけじゃないですか。「トヨタのあの人、紹介してくださいよ」「はい、紹介します」で対価ゼロでは、自分の時間の浪費になってしまう。だから僕は、うまくいかない方の共通項のほとんどが、お金に対するセンシティビティが、恵まれた環境で働いていた時間が長すぎて、言いづらくなってしまっていることだと思うんです。だから僕は、お金の交渉のセミナーみたいなのがこれからは必要なんじゃないかなと。

高田:ああ、それはいいかも。その講座、僕も受けたいです。本当に「自分の値段がいくらなのか」を考えるのが、一番困りました。だから、「弁護士さんって1時間コンサルティングしたらいくらなんだろう」とか、そういう目安も参考にさせていただきましたし。本の中でも書いたんですけど、例えば年収1千万だったとしますよね。で、稼働日が仮に200日とすると、日給5万円になりますね。

福田:その計算、よくわかります。

高田:おそらく1時間だろうと2時間だろうと、打ち合わせをさせていただくということにあたり、その準備時間も含めるとけっこうな時間がかかっているので、自分の日給が果たしていくらなのか、あまりふんわりしないほうがいいですよね。それで200日間仕事が埋まって、はじめて年収が元と同じになるわけですから。なかなかすぐにはそうはいかないと思いますが。

福田:でも、それを目指すべきですよね。

高田:目指すべきだし、自分の価値がいくらかを量りながら、フリーランスとしてキャリアを積んでいくことですね。たとえば講演会ひとつとっても、会社員時代にいろんなところに呼ばれて「お話してください」っていうことでいただくお金は、あくまでも「お車代」なんです。

福田:たしかに、そうですね。

高田:フリーランスになってからの講演会は、最初は金額が安かろうが何であろうが、全部お請けしてきました。でもさっきの福田さんの先輩のお話のように、「いくらでもいい」はダメなんです。なので最後はお値段を言わせていただくようにしましたね。本来は「いくらいただきたい」っていうことをしっかりしておかないと、やっぱりフリーランスっていうのは生きていけなくなるし、ダメだと思います。

福田:声がかかるということは、あるバリューがあるわけですから、それについてはやはり数字にしないといけないと思うんですね。堂々と仕事を続けているいろんなフリーのクリエイターの方たちは、若いときから1人でやっていて、お金の交渉なんかもピシッと来るわけじゃないですか。

高田:来ますね。

福田:何ならこっちのサラリーマンのほうがタジタジとするような場面も多いわけで…。それが今、僕も逆の立場になって、ちゃんと自分の価値を再定義して言えないと、この「辞めて勝つ」っていうところに行かないのかもしれないと思いました。

高田:そうですね。お金の面で言うと、そこをしっかりと決めていくっていうことだと思います。稼げば稼ぐほどいいってわけでもないとは思いますが、やっぱりサラリーマンの世界から出るということは、毎月定額入る世界から出るということなので。自分で仕事を決めて、自分の単価を決めて、それでちゃんと食えるようになる。それがサラリーマン時代よりたくさん稼ぐから=「勝つ」というわけではないんですけども、やっぱりサラリーマン時代の最後の年収は越えようっていうのは、1つの目標値としてはありますね。

福田:いいですよね、それがないとね。僕は辞めちゃって、同じ先輩の道をついて行くだけですが、今日ここに来られた方も「影響しすぎたけど、結局うまくいかなかったじゃないか」っていうクレームは一切受け付けません(笑) でもこんな講座が4年前にあったら、僕ももっと早く独立できたかなぁと。

高田:いや、とんでもない。

福田:本当にありがとうございました。素晴らしいお話でした。

高田:こちらこそありがとうございました。皆様の参考になりましたら幸いです。

(了)

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