「ネットCM」が「テレビCM」を超える日 | Talked.jp

Talked.jpby Sony Digital Entertainment

「ネットCM」が「テレビCM」を超える日

日時:2014年6月10日(火)
場所:成蹊大学 吉祥寺キャンパス

西 冬彦 氏

1965年生まれ。早稲田大学卒業。映画会社ギャガ・コミュニケーションズの元国際部(外国映画買付部門)部長。少林サッカー(興収28億円)、わたしの頭の中の消しゴム(興収33億円)などを買い付け大ヒットに導く。現在はプロデューサー、監督、脚本家、アクション監督とクリエイターとして幅広く活動中。

ばんば 淳一 氏

2003年より日本マクドナルドのクリエイティブ・ディレクターとしてCM/グラフィックなど広告クリエイティブ全てを統括監修。2010年よりフリーランスとして活動。
不二家/東映/Panasonic/NTT docomo/小林製薬/ネスレなどCM実績多数。

福田 淳 氏

ソニー・デジタル エンタテインメント 社長
1965年生まれ、日本大学芸術学部卒。アニメ専門チャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。(株)ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント バイス・プレジデントを経て現職。

構成:福田千津子 撮影:越間有紀子

バイラルムービーは、商品を売らないでイメージを売る

福田:YouTubeやFacebook、Twitterで見かけるウェブ動画のことを「バイラルムービー」(Viral)といいまして、最近はやっております。語源は「ヴィールス=感染」(Virus)で、口コミで広がる映像のこと。これまでは大量に宣伝を流して、それを見て、ほしいなと思うのが消費の導線でした。ところが、バイラルムービーは友達から友達へ、「ちょっとこの映像面白いよ」という感じで広がっていく。実際、井の頭線に突然落雷があって、その映像がYouTubeで配信されたら、一晩で100万ビューになったとか。そういうのがバイラルな状況ということです。

今、このマーケットが急拡大していて、昨年の制作費規模が国内で130億円。来年には400億円ほどになるだろうと言われています。その理由は、若い世代のテレビ離れ。大学生の4分の1はテレビを持っていない「ノーテレライフ」をおくっているという現状があります。日本は通信環境がいいので、スマホでYouTubeやテレビも見られます。ドラマや映画も一気に見ずに30分ずつ寝る前に見るなんてライフスタイルもあって、視聴形態も変わってきています。 アメリカのマーケット規模は昨年で4000億円。日本とは桁が違います。たとえば、話題となったラコステのバイラルムービーがありますが、5分ぐらいの映像に24億円かけています。そのショートバージョンがテレビCMとして流れるぐらいハイクオリティ。今はまだ、日米の差は大きいですが、日本でも急拡大しているのは事実です。

バイラルムービーの特徴は、「CoolからLikeへ」とよく言われます。今まで広告といえば、大量にTVスポットを打ってきました。非常にかっこよくて、瞬間的に知れ渡って、商品が良ければ売れる。それがここへきて情報のリソースが、スマホにパソコンと増えてきた。FacebookやTwitter、Vineと、メディアもいろいろ出てくる中、テレビから得た情報よりも友達から聞いた情報の方が信頼性もあって面白い。そういう情報流通経路の革命が今、起きているわけです。バイラルムービーが活用される土壌ができてきているのではないかと。 映画監督の西さんが最近いろいろ研究されているようなので、バイラルムービーとは何、これからどういう発展があるのか。また、なぜ今バイラルムービーが注目されているのか。このあたりを伺ってみましょう。