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中国のテック事情~マンション編

中国テックビジネスのスペシャリストに聞くAI+アナログの最適解とは?(前編)   Talked.jp

福田:AIのこれからについて僕が思うのは、徹頭徹尾、人間くさいところに戻るよね、ということなんです。ダサさというのは、悪くないよねって。

成嶋:ああ、もちろんです。

福田:だからAIがダサさを再発見してしまう可能性がある。僕は会社勤めの頃はずっと、衛星放送の立ち上げとか、ニューメディアとかマルチメディアしかやってこなかったんですが、当時「これから衛星放送が出たら、世界中のことが全部分かる」なんて言われていたわけですけど、実際はみんな、世界のことになんかあんまり関心ないんですよ。 90年代ぐらい、最初のうちは、例えばCNNでは「ケンタッキーのニワトリが逃げ出した」みたいなニュースをずっとやったんです。それでも衛星の開始前、港区界隈の富裕層マンションではNTTのマイクロファイバーをつなげて、1人月10万円とか払ってCNNを見ていたんですよ。「衛星放送になって月600円になった!」って言っても、別に大したニュースはやってないんです。で、ケーブルテレビができたときに、「なんかご近所でいい魚屋があるわよ」ってところに、みんな殺到したんですね。だから洗練されたイメージと実生活にはギャップがあって、ほとんど結びついてないという体験は、ニューメディアのときからあったんですよね。

成嶋:3年ぐらい前ですが、自民党のデジタル推進特別委員会の末席で、政策を作っていたんです。そこのエンタメ領域で、私の提案が2/2で一応提言書に採用されまして。

福田:すごいですね、確率が。そういうときはどういう立場でいらっしゃるんですか。人形屋さんの名刺でそこにいるわけでもないですよね。

成嶋:知り合いを通じての案件だったんですが、人形屋の名刺でいましたよ(笑)

福田:みんな、「エンタメ業界の人なのかな」って思ったでしょうね。

成嶋:逆ブランドみたいなことはありましたね。人形屋だということで、パンチきいている、みたいな。

福田:しかもそれが200パーセントで受注していくわけですからね。

成嶋:その案件のときに…今もいいなと思っているんですけど、単焦点の4Kのレーザープロジェクターがありまして。マンションなんかに全部設備しちゃうのが本当はいいんですよね。要は、テレビだけでなく、緊急の放送とか、地域・近所の情報などを「テレビ画面のスマートフォンで見る」と思ってください。今より数多くの映像コンテンツを全部タブで仕分けられるんですよ。例えばエントランスから入ってくるときなども、スマートフォンとこのテレビ型スマートフォンが連動して声帯認証がどうなっているかなど、いろんなものを全部集約して確認できるんです。ここに今、人がいるかいないかとかも分かるようになるので、緊急事態のときだけそれを補足していいとなれば、今マンションのどこでだれを助ければいいかも分かる。あとはどのIOT家電をどれぐらいの量で動かしているかも分かるので、「では電気プランを別のものに変えたほうがいいのでは?」とか。エアコンをいつ何℃で動かしているかまで分かるので、AIでコントロールすれば、そのうち操作しなくてよくなるんですね。快適な温度はもう覚えるので。

福田:それはすごい発想だと思うんですけど、それはご自分で、もうゼロから突然思いつくアイデアなんですか?

成嶋:はい。いろいろなAIの活用シーンやモデルケースを見ているので、あれとこれをこうやったらというインスパイアが一番大きいと思うんですけど。 また、情報がいくら入っても福田さんがおっしゃるように、近所の情報って、意外とないんですよ。私が中国で見て、居住区に結構広告があるのがすごくいいなと思ったんですよね。日本にはほぼ、普通のマンション内に広告って見かけないけど、中国では例えばエレベーターの中にサイネージが入っているんです。どのエレベーターの何番に、どの広告を入れるとか、入札できるようになっているんですけど、それによって共益費とか管理費が賄われているんですよ。やはりむちゃくちゃ頭いいなと思って。しかも近所のスーパーがいくらとか、運動会が今近くであるとか、そういう情報が多いんです。生活に密着していますよね。

福田:頭いいなあ。

成嶋:頭いいですよね。それに、必要じゃない情報ではないんですよね。クライアントからしても、このマンションに住んでいる人は(広告の)対象か対象じゃないとかも分かるじゃないですか。だから結構打率もいい広告なんです。

福田:すばらしいな。

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