【ニューメディアが拓く面白人生!】8ミリ映画から衛星放送、iモード、スマホアプリまで。ニューメディアの可能性を広げるのが醍醐味。@慶應義塾大学 メディアコミュニケーション研究所【後編】

男性1:阿佐ヶ谷にできるというVRの施設について、もっと詳しく知りたいです。

福田:今までVRって主な話題としてゲームだったり、ポルノだったりして、しかも僕はヘッドセットかけると目が回っちゃうこともあり、あまり関心なかったんですけど、VRアートを見て、「なんて美しい世界なんだろう」と感動して、ギャラリー作ることに決めたんですね。Googleのパリの連中が作った「Tilt Brush」というソフトがあるんです。簡単にVRでいろんなお絵かきができる本格的なブラシで、ネットで2980円で手に入ります。これを使って、トップクラスのクリエイターの皆さんが描いてくださったデータを部屋いっぱいに再現しようと。「世界初のVRミュージアム by ソニーデジタル」として、8月に阿佐ヶ谷のアニメストリート内にオープンしますので、ぜひ行ってみてください。ゆくゆくは、ここで誰でもVRを作って発表できるようにしていきたいと考えています。

VRは実用の世界でも期待されています。難しい外科手術の練習をするときに、ヘッドセットつけて先輩に手ほどき受けたりとか、どこかの不動産屋さんが既に始めていますが、前の住人がいて内覧希望者に部屋を見せられないときに「ここが居間」「こちらはトイレ」とヴァーチャルで案内したりとか、幅広い分野で定着しつつあります。

ちょっと専門的になりますが、今、AR(拡張現実)の技術も注目されていますよね。「AR三兄弟」もそうですし、MicrosoftとFacbookとGoogleはVR、ARどちらにも熱中しています。究極は、『スター・ウォーズ』でも描かれたホログラムを立体で表現する技術だと思うのですが、現在、その一歩手前まできています。

チームラボの猪子さんもテレビで言っていましたが、東京オリンピックの頃には、ものすごく足の速いアフリカの選手をホログラムで再現して、渋谷の交差点を走らせるようなこともできるかもしれません。実現すれば、競技場まで足を運べない人も、中継されないマイナーな国の試合を見たい人も、競技を楽しめるようになる。VRやらARやら、専門用語はわかりづらいですが、要するにテレビモニターの進化版とでも言えばいいのかな、今以上にリアリティをもって迫ってくる技術が、皆さんが社会に出る頃には、世の中の主流になっていると思います。

男性2:最初の質問とかぶるんですが、学生があまり新聞を読んでいないことが気になっています。例えば、友達が「福山雅治、結婚するんだって!」と教えてくれたときに、「それ、どこの情報?」って聞いたら、みんな、Twitterって言うんですよね。あとYahoo!とか。若い人って、ニュースソースがどこか、あまり気にしない。ニュースの価値がだんだん安くなっている。タダ同然というか。わざわざ4000幾ら払って朝日新聞デジタルとか日経電子版を購読しなくてもよくなっている気がします。先ほど、将来的に捨てられるデバイスが出てくるかも、という話もありましたけど、我々の世代って既にニュースをスマホで消費するようになっていると思うんです。わざわざお金かけるもんじゃないよねって認識があるような・・。

福田:ベッキーのゴシップが1億2000万人の話題になり、「『週刊文春』がいっぱいスクープ出している」と注目されましたが、「『文春』の記事をお読みになったんですか?」と聞いても、ほとんど読んでいないんですよね。今、『週刊文春』で120万部、『週刊新潮』が50、60万部くらいですかね。世の中の騒ぎっぷりからするともっと巨大なメディアになっていてもおかしくないのに100万ちょっとというのは、まさにほとんどがソーシャルメディアによってシェアされているからですよね。つまり、真実かどうかわからない情報なんです。ベッキーが本当にそんなことしたか確証はないし、ましてや「相手の男が悪い」なんていう見解は、Twitter上などで入ってきた、他人の脳みそを経由した情報に過ぎない。

だから、今、様々なニュースを検証するサイトが新しい潮流となっています。ニューズ・コーポレーションのマードック氏などもすごく力入れて、検証サイトを次々と買収している。というのも、覆面したISIS何とか団が「俺たちのアジトに日本人を拉致したぜ」というような映像を流す自体が増えているからです。その映像を解析する会社もロンドンにあります。「これが撮影された場所はレバノンだ」とか、「この撮影機材は4年前にロシアから買ったものだ」とか、多方面から検証するんです。同じニュースでも、加工とかコメントとかバリエーションが増えているので、見極めが難しいんですね。