福田:多様性とか趣味とかNPOとか、キーワードになってくると思うんですけど、うちの祖母は鎌倉彫やめた瞬間に老け込んでぼけたし、父親もスイミングしていたのに、行かなくなってから、急激に衰えたんですよ。何かやめるもんじゃないなって。やっぱり生きるって気力なのかなと思って。
安藤:何か夢中になれる趣味。屈託なく話し合える仲間。仕事以外にそういうネットワークないと厳しいでしょうね。
福田:そのときに、僕らの言葉で言うと、編集者的な素養が必要になりますよね。例えば花見の季節に新宿御苑に行ったりすると、みんな桜撮っているじゃないですか。おばちゃんとかガラケーで撮るわけですよ。桜の木を入れようとして、全員下がるんですよね。でも、プロはものすごくいいカメラで、花びらまで寄って撮るじゃないですか。両方いいんですよ。「春だから桜を撮りましょうよ」っていう天の声か編集者から、お題が出ているから、別に興味なくても撮るわけですよね。僕、遊び方改革ってこれだと思うんです。何の趣味もなくてどうしていいかわかんないんですよっていう人ほど、テーマを与えてあげると必死でむちゃくちゃ頑張る。
アメリカの大学生の中のレクリエーションで、「Garbage Hunt」ってごみ拾いのメニューがあって。4人チームで、「富士山」ってテーマだと、そのチームが複数あって1日中、富士山にまつわる証拠写真を撮って夕方までに戻んなきゃいけないんですよ。富士山が載っている雑誌だけ集めてくるチームもあれば、本当に富士山登っていましたってチームもいる。いろんな富士山を提示して何が面白かったかって飲み会やるんですよ。それうちの会社でやったら物凄く盛り上がってチームビルディングになりました。む
だから、テーマの与え方なんです。編集者が今は冬だからこれこれとか、政治のこれこれとか、何か与えるとコミュニティーって活性化すると思うんですよ。それがないと、「別に5時でも10時でも構わない。奥さんの顔見たくないし、子どもの関係悪いし」とかなる。
安藤:「もう帰ってきたの?」って家族から言われたくない。加えて残業代も入らないともう家居場所がない。
福田:残業手当も、若者なんかのレベルでいくと、今、年収300万円時代ですもんね。
安藤:東京でも30歳で平均所得400万切っていますからね。
福田:僕が大学生の頃、石神井公園住んでいたんですが、一番安い定食屋でも、しょうが焼き定食で850円ぐらいしたんですよ。今、チェーンだと250円で食べられちゃう。インフラコストが下がっている、デフレ化していることは間違いないんですよね。それプラス、インターネットで何でもどこでも行けちゃう気持ちになるので、旅も行かない、車も要らないって。「貧しいな」ってみることも可能なんですけど、他のオポチュニティーが増えているというのがやっぱりこういうとこで教えてくれないと、駄目なのかもしれませんね。