テレビも紙媒体も デジタルマーケティングの視点で見直してみよう感
最近、クライアントに言っているのは、「テレビって、やっぱりリーチはすごいですよ。見直してください」ということ。これは、雑誌や本も同じです。これまで、どう読まれたのかを全くデータも取らず、数値化してこなかったために、紙媒体の売上は落ち込んでしまいましたが、美容室に行くとみんな雑誌を読んでいますよね。雑誌媒体というのは、視聴の深さとか、面積とか、絶対デジタルでは数値化できない媒体なんです。
「グロースハック」と言って、ウェブサイトのeコマースなどで活用されている、視聴率を上げるための手法があります。日本ではまだ浸透していない用語ですが、製品やサービスの成長をハック(=新たなやり方で加速する)する人たちです。「ユーザー獲得担当エンジニア」とも呼ばれています。「ハッカー」とはもともと悪い意味ではなく、Facebook創始者のマーク・ザッカーバーグたちが起業したときに挙げたコンセプト。FacebookやTwitter、Dropboxなどの会社がこの手法を使い、わずか数年で広告費やマーケティング予算をかけずに、何億というユーザーをよりエンゲージメントの高い状態に持って行くことに成功しました。つまり、新しいユーザーをサイトに呼び込み、サービスや商品を購入してもらうまでの流れを作り上げることです。
具体的にどんなものかというと、ユーザーがどのサイトを見ているのか、ヒートマップを作るんです。「ここが目玉で、次に見るのはここだ」とデザインされている。「Z型」などのいろいろなパターンがあるんですが、お客さんが本当にそういうふうに視聴しているのかどうかをトラッキングして、広告メディアの価値を測るんです。書籍や雑誌でも、この手法を取り入れればいいのではと思います。「まず何ページを読んで、次にどのページにいった」など、そういう動線を追えば、雑誌というメディアのポテンシャルがどうあるか、再発見されるのではないでしょうか。
テレビも「個人視聴率を導入しようか」とか、「録画固定した人は何パーセントなのか」などの動きがようやく出てきましたが、デジタルが出たときからやっていれば、もっとビジネスオポチュニティーがあったはずです。でも、今からでも決して遅くはありません。テレビもリアルな紙媒体も、デジタルマーケティングの視点で見直して評価することによって、価値を再発見することは可能なのではないかと僕は思っています。
(了)