極度の理数系の自分は、
「言われないと人の気持ちわからない系」(笑)
小嶌:そのインターン時代、恥ずかしながら、じつは僕は営業成績はダントツ1位だったんですよ。ただ、上司の評価は最低で。そこで上司からめっちゃ怒られたんですよね。毎日。今思えば、僕みたいな部下がいたら嫌だろうなぁとは思うんですけど。
福田:それはちょっと意外ですね。大学院でも教授に怒られたって。
小嶌:はい。そもそも僕自身も含めて、うちの会社のメンバーは理系が多く、数字が好きだったり、測るのが好きだったりはするんですけど、人の気持ちについては、ちょっと「分からない系」なんですよ。
福田:小嶌さんって、何が問題でそんなに怒られるんですか?
小嶌:昔から、中高の部活とかでもめちゃくちゃ怒られたんですよね。中学は野球部、高校、大学とテニスだったんですけど。僕は理屈が通っていることが、とにかくすごく好きなんです。でも体育会の世界には、理屈じゃない部分、精神論みたいなものが結構あって。
福田:あぁ、それは僕も苦手なのでよく分かります。
小嶌:精神論を重視するタイプの方に割と多い気がするんですけど、人の感情の機微に富んでいる方というのは、言葉にならない、言外の思いを察し合ったりするんですよね。ただ僕は、それが苦手で。
福田:行間を読め、みたいなね。
小嶌:はい。表現された言葉を、その通りストレートに受け取ってしまったり、ストレートに発してしまったりするので、それが、トラブルの火種になったりして。「なぜお前は、あいつが明らかに表情や態度で怒っていることが分からないんだ!」と。でも僕は、「怒っている」と言葉で表現されなければわからないんですよね。
福田:外人肌ですよね。でも、国際性で言ったら、絶対に小嶌さんが正しいですよ。僕もこの年齢になって今、人の気持ちは大概分からないようにしようと思っています。「言われないから分かんなかったよ。なぜ言わなかったの?」という感じで。これも、国際コミュニケーションでは当たり前ですよね。
小嶌:そう言っていただけると、心強いです。
福田:抽象的な飛躍で申し訳ないですけど、ポイ捨てごみの問題なんてとくに、「自分だけは許されるっていうことを、社会は分かってくれるだろう」っていう甘えから来ているものだから。ポイ捨てごみの概念自体、もともと屁理屈であって理屈として通ってない。
小嶌:たしかに。
福田:でも、上司と反りが合わなかったとしても営業成績ナンバーワンだったら、何も言えないでしょう。小嶌さんに対して。
小嶌:いや、全然。やっぱり精神論で来るんですよ。
福田:その時の小嶌青年に言っても届かないかもしれませんけど。僕は社会に出てからずっと、「上司はばかな人の方が、自分は出世できる」と思っていました。賢い上司だったら、自分は伸びないと。若いから「自分は賢い」と思っていたんですね(笑)。部下が賢ければ、上司はつねに助かっているはずだから、いつでも出世できるって。いつもいろんな上司から、「フクダが部下だと便利だけど怖いわ」って言われていましたね。
小嶌:それ、すごいなと思う。僕にはなかなかできる気がしないです。