ジョージの生活
ところでジョージは、電気もガスもない孤島で、一体どのように生活していたのか。
暗くなると、Tシャツを細く切って、ラジオのアンテナを縛ったものを芯にして灯油を吸い上げ、手作りのランプに灯をつける。水道はないので、落ちていたホースを使い、森の水源から水を引いていたそうだ。家は、台風などで海に流れ着いた漂流物を使った手作りのバラック小屋のようなところに住んでいた。ガスコンロなどは、「米軍の子どもたちからよくもらっている」と言っていたらしい。海でバーベキューなどをした時に、捨てたり、置いていったりしたのかもしれない。「人間、一人で生きていこうとすれば、何でもできるよ」とよく話していたそうだ。
食事は、基本的には釣った魚だ。釣り竿は、折れていたものを修理して使っていた。ノーリーによると、犬を5匹くらい飼っていて(といっても放し飼い)、その犬たちにも食べさせていたらしい。宮城島には持ち主のいない畑がいくつもあり、「そこで採れるバナナやイモは自由に食べていいと言われていた」という。米や小麦類は、島の人の手伝いをしてもらったり、差し入れなんかもあったようだ。
私が驚いたのは、ノーリーがジョージから貰った溶接して作ったペンダントだ。デザインもすごかったけれど実用的にもたいした優れもので、これがあれば、どこでも火を起こすことができる。
「今、ちょっと試してみたら、やっぱり速攻で火を起こせました。これは米軍からもらった望遠鏡のレンズで作ったらしいです。それを聞いて僕も持っていた望遠鏡を分解しようとしたんですけど。望遠鏡ってめちゃくちゃ頑丈にできていて、どうやってもレンズが取れないんですよ」