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リモートトラスト力で過去の貯金を超えていく

経営者の在り方ってなんだ!?発想の原点は、「構造を見る」ということ

福田:例えば、大学卒業してからずっと一つの会社に勤めてきた人が、割増退職金が何千万出るとかいう状況になって、「オレは、いろんな人脈もあるし」と辞めちゃうとしますよね。でも、優秀な人であっても、ほとんどそのスタートアップはうまくいかないんですよ。どこそこ企業に何十年勤めてきたヤマダさんであったとしても、辞めたら、企業のブランド価値を差し引いたヤマダさんになるだけ、ということを想像していなかったからです。会社の名前があれば、用事があったら人が来てくれますけど、普通は用事があるなら沖縄でも北海道でも自分から出向いていかないダメなんです。当たり前ですけど。訪問先がある程度の企業なら秘書に会わせてくれと言わないと会えないし、下手すりゃ取り次いでさえもらえないでしょう。
これが、リモートトラスト力だと思うんです。リモートトラスト力というのは、会ったことのない人と億円以上の取引ができる力。中国人とアメリカ人は大陸だからそういうことが得意で、会ったことがない同士のテキサスの人とニューヨークの人でも、話が合えば契約書も交わします。でも日本人はコロナ禍でZoomを使っても、同じ人とばかり話しているので、そこから新しい人と出会うことがないのです。

白河:リモートトラスト力ですか。なるほど。福田さんの『スイスイ生きるコロナ時代』(高陵社書店)を読んでも、良い例がたくさん出てきますね。

福田:ええ。このリモートトラスト力が非常に足りないと思っています。ずっと同じ仲間と話をしていて、お金をグルグル回していくから、新規事業が全く芽生えない。

白河:「コロナが明けたら会議を会社でやろう」と、あっという間に元に戻そうとしていますものね。別にリモートがいい、リアルがいいという話ではないけど、これからは選択肢を増やしたほうがお得じゃないですか。それなのに元に戻ろうとするのは、やっぱり、慣れていないことをやりたくないからでしょうね。自分のマネジメント力がない人は、「部下は目の前にいてほしい」という発想になってしまう。

福田:仕事ができない、役に立たない人は本人も自覚しているから、早くよろいを脱いで、新しい自分になるためにエデュケーションが必要だということですね。

白河:アンラーニング(今までの学びをリセットすること)とエデュケーションや体験ですよね。それこそワーケーションに行ったり、今はリアルに話せないから、Clubhouseみたいなところでいろんな人としゃべってみたり。過去の貯金があったらうまくいく、と多くの人は考えてしまいがちですが、福田さんのような人はリモートトラスト力があるから、過去の貯金を超えていくわけですよね。この「過去の貯金を超えるにはどうすればいいのか?」というのが、多くの人のテーマだと思うのです。

福田:あまりにも会社の中に居過ぎて外との接点もないとなると、一流で仕事ができるというのりにのった40代のビジネスマンでも、外の友達がめちゃくちゃ少ないですよね。幼なじみ以外、会社の仲間以外の友達がぽっかり抜けていていないので、それは新しいインプットなんてないですよね。

白河:それはまったく同感です。

福田:人工肉がどんな味かも、韓国の芸能事務所の株式上場や、インドがすごいぞという話も何も知らない。僕は常々、東京にいると「ワイドショー脳になる」と言っているんですよ。新型コロナ感染症が拡大し始めて、志村けんさんが亡くなったころは、有名人の誰が感染した、という話題ばかりが中心でした。

白河:ワイドショーや報道のパターンも変わらないですよね。一年以上経った今でも、相変わらずいろんな人にコメントをさせて、「ワクチンが心配です」と、同じようなことを繰り返している。コロナの感染拡大状況が深刻な時は、専門家を1人スタジオに呼んでじっくり話を聞くぐらいでいいと思う。この国の中で多様性がないのは会社だけではなくて、もっとひどいのは政府周辺と大手メディアです。自分たちの日常のルーティンを変えられないのですよね。

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