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この10年が、一番面白い時代になる

この10年が面白い! Z世代が日本を変える日  Talked.jp

福田:Z世代の人は、25歳ぐらいまでですよね。選挙権を持っている人もいるわけですが、結構、自民党支持者が多い印象で、僕には違和感がありました。なぜかというと、Z世代の人たちは、環境問題や社会課題に対して感度が高くて、「やばいぞ」という自分ごとの意識があるから。働き方や生き方にはそれが反映されている一方で、政治には反映されないのが不思議でした。

コミンズ:一番シンプルな理由は、人口ピラミッドが逆三角形ってことです。若者が全員、例えば野党に投票しても、老人の2/3が自民党に入れたら勝てないという、根本的に数字上の問題。ただ、たぶん福田さんが気になっているのはそこではなく、「興味を持っているなら、何かやれよ!」みたいなことかな?と思います。僕は、実はだからこそ、可能性がすごくあると思っているんです。一番分かりやすい例が、2020年のトランプ政権の敗北ですよね。敗北の理由はいくつかありますが、ひとつ顕著として現れたのが、やっぱりジョージア州がひっくり返ったこと。

福田:うんうん、そうですよね。

コミンズ:ジョージア州は、黒人が圧倒的に投票をしてこなかった地域です。なぜかというと、黒人がもっともアメリカの歴史上、自国の政府によってないがしろにされてきたし、虐げられてきたので、政治というシステムを信じてないんですよね。なんなら、日本の今の若者と同じぐらいですよ。日本の若者だって、自分が投票したからといって、世の中が変わるなんて思ってない。そんな黒人たちを動かしたのが、ステイシー・エイブラムスという、元ジョージア州の女性議員でした。彼女が4年ぐらいかけて、「あなたの一票で、アメリカは本当に変えられるんだから」と、地元のNPOと連動して草の根で活動を続けた結果、ジョージア州がひっくり返ったんですよね。本当に、変えられたんです。

福田:あの2のうち、1でも落選したら危なかったもんね。

コミンズ:そうなんですよ。あれを見た時に、「日本って、全部、言い訳じゃん」と思ったんです。若者が投票しないのも言い訳。結局、「その草の根を誰かやっているの?」っていうことなんですよね。田舎まで行って、例えばマイルドヤンキーの人たち一人一人に、「お前の一票でマジで日本を変えられるんだよ」っていうことをやっている人が果たしているのか? 勉強不足かもしれませんが、おそらくいないんですよね、日本には。アメリカでいうところのBlack Lives Matter(*3)みたいな、10年弱活動を続けていた上で、ジョージ・フロイドの殺害という分かりやすく顕著な事件があって、アメリカ中の若者みんなが立ち上がらなきゃいけないというような、日本も、そのくらいのきっかけが必要なんですよね。何かが起きて、草の根活動が始まり、シンボリックな何かが続き、それがきっかけになってさらに運動が起きて「自分の一票で国は変えられる!」とみんなが信じられるような。そして、さっきの選挙投票数の論理に戻るんですけれど、その間にいるわけですよ、親世代が。

福田:僕らのような、バブル世代がね。

コミンズ:はい。つまり、じいちゃんばあちゃんの高齢者世代が亡くなったあとに残るのは、自分たちとその親世代ということです。もし、自分の息子や娘が、頑張って社会を変えようと運動しているのを近くで見ていたら、それで動かされるのはやっぱり親だと思うんですよね。だから僕らは今、Z世代に向けたプロジェクトをいろいろとやっているんです。
Z世代が日本を変える。だからそのために、僕たちが動くんだ、と。僕たちが50歳になるときは、シンギュラリティか、もしくは環境破壊を食い止めることができず人間社会が終わっていくのかもしれない。どちらかのせいで、自分たちは子どもすら残せないかもしれない。だから、「どうにかして未来を変えなきゃ」と思う人々が一致団結して、いろんな周りの人を巻き込みながらやっていく。そうすれば、最終的には上の世代も考え方が変って、そこで初めてティッピングポイント(*4)が起きるんですよ。僕がずっと言い続けていることですが、この10年が日本で一番、戦後の経済成長とバブル手前ぐらいまでに比べて、一番面白い時代になる、と。だから僕はこの10年、日本にいるんです。

福田:農村部と都市部の話で言うと、戦術的な話になるかもしれないけども、やっぱり今までのリベラルの革命って、ほとんど都市部から起きているんですよ。情報量が圧倒的にあるのと、人とのコミュニケーションの多様性が革命を生む部分はありますよね。

コミンズ:そうですね。

(*3) Black Lives Matter = BLMと略される。アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動。2020年に米ミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首を8分46秒圧迫されて死亡した事件を受け、全米に広がった抗議運動が有名。

(*4)物事がある一定の閾値を超えると一気に全体に広まっていく際の閾値やその時期、時点のこと。

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