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生産者さんは作業をしながら、オンラインで会話

「食べチョク」創業者に聞く、一次産業×ITが解決する社会課題とは?  Talked.jp

福田: 一次産業は本当に、コミュニティを作る仕事ですよね。秋元さんがやっておられる経営は、歩けば歩くほど、人と話せば話すほど精度が高まる仕事だと思います。ITだけやっていてももう限界だし、理屈が確立されている分野が多いので、伸び代がないと思うんですけど。だから、林業なんかは農業よりもっと大変ですよね。

秋元:そうなんですよ、林業は本当に大変です。私はまだそこは全然手を付けられてないんですけど、林業は農業よりも、より高齢化が進んでいますし。弊社は今、社員35人アルバイト45人で従業員80人なんですけれど、ITと一次産業の現場の両方の感覚を持っている人を採用するように意識しています。この文化をこの小さい規模でもちゃんと浸透させて、大きくなっても維持させていきたいと思っています。今までの強みが、そこのバランス感だったと思うので、今は組織文化の浸透に、一番時間を使いたいですね。

福田: なるほど。80-90年代の広告業界が面白かったのは、楽しそうな場所を作るのがうまかった。だから、大企業の偉い人もフリーランスの面白い人も、上限関係なしに面白いコミュニティができていました。そういう外部とコラボしたチームで仕事ができたんですよね。今は、現実の面白い場所がどんどん無くなってきたので、カルチャーを作ることを経営者がプログラムしないと、素敵なコミュニティはできにくくなったかもしれません。

秋元:確かに接点を作らないと、ですよね。私たちの場合、それは生産者さんなんですけれど、やっぱり生産者さんの声をなかなか「聞けない」メンバーもいるので……。解決策として最近は、週に1回1時間Twitterのスペースやクラブハウスなどで、生産者さんと私が話す「食べチョクハウス」というのをやっています。実は生産者さんって、すごくTwitterのスペースやクラブハウスを使ってるんですよ。

福田:そうなんですか。作業しながらできるから、ですかね。なんでも「ながら」ですもんね、今は。

秋元:そうです、そうです。今まで耳が空いていたので、ラジオを聞いていたところ、Twitterのスペースやクラブハウスだと「なんか(農作物)に病気が出ているんだけど、これ知らない?」とかすぐ聞けて相互コミュニケーションがとれるので。今までは孤独だった作業中も、全国でつながることができますよね。

福田:ディスコード(*4)みたいな感じ。

秋元:本当にそうです。ディスコードみたいな感じで生産者さんが使っていてアクティブ率が高いので。

福田:年齢はどのくらいなんですか?

秋元:40~50代ですね。なのでいわゆる若手の生産者さんたちですけど、私はそういう方々と今は週に1時間話しています。少し前までは250日近く毎日やってました。

福田:250日、めっちゃすごい!!

秋元:クラブハウスが始まった瞬間からずっとやっていました。それがすごくいいなと思うのは、生産者さんにも私の考え方や性格なんかを知ってもらえますし、さらにその話を社員が聞いているんですよね、耳で。そうすると、仕事内容的には生産者のところへ行かないスタッフも、「あ、生産者さんってこういうところに困っているんだ」ということが聞けて業務にも活かせることもあるので、そういう場作りをやり始めています。

(*4)チャットや通話を特定のグループで行うためのアメリカ発の通話アプリ。ゲームユーザー向け配信サービス「Twitch」のコミュニティを中心に広まった経緯から日本国内でも話題になった。通話の品質が高く動作が軽いことから、ゲームユーザーを中心に広く使われている。

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