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節句人形業界にトランスフォーメーションを起こす

中国テックビジネスのスペシャリストに聞くAI+アナログの最適解とは?(前編)   Talked.jp

福田:その時代に、写真と値段を出そうと発想されたのがすごいことですよね。お人形屋さんについては、今後のビジョンについて、どんなふうにお考えなのでしょうか。

成嶋:今後は、サブスクみたいにしたいなと思っています。最近は、おじいちゃんおばあちゃんも、孫のためとはいえ、そんなに一気に高額な節句人形を買うのも難しいんですよね。子ども夫婦と一緒に住んでいる人も少ない。そんなに接点もないのに、急に高いものをせがむのも申し訳ない、という心理も若い側にはあるし。そこの心理的圧迫を減らしてあげたい。あと、使わない時にしまっておく場所も大変だと言うので、「じゃあこちらで預かりましょう」「メンテナンスも入れましょう」と。例えば五月人形なんかは、6歳ぐらいまで飾りたいなら、そこまでのメンテナンスは全部見る。その代わり6歳までは金額をサブスクにして、「月々いくら」とすれば、お客様の負担も減るのではないかな、と。

福田:どんなもので(サブスクが)できるんですか。いろいろなサイズの商品があるでしょうけど。

成嶋:まあ、3000円から1万円ぐらいのレンジからで全然、できるので。

福田:例えばひと月3000円で、1年間で3万6000円くらい。それでいけるんですね。

成嶋:はい、いけます。「それなら出せるかな」と、ストレスも下がって、お金の呪縛から一回離れたところで選んでいただくほうがいいんじゃないかなと思っていて。で、それが気に入っていただけたら、じゃあランドセルや七五三も、同じようにメンテナンスから処分まで、全部やりますよという形にしたいですね。結構、お客様のペインにはあまり寄り添ってない業界というか、「あればいいだろう」みたいなことになって、どんどん単価が下がっているという現実があるので、そこをどう食い止めていこうかな、というところですね。

福田:節句人形のサブスクのほかには、どんなアイデアをお持ちなのでしょう。「タカラトミー」や大手人形メーカーの「久月」とのコラボ商品も、手掛けておられると伺いました。

成嶋:今は、アニメやゲームのキャラクターのものを工芸品にしようと思っています。 でも、なかなか実績がないと難しいので、今、ショートムービーを作っています。この動画をSNSで拡散すると、フィードや、ポジティブなのかネガティブなのかとか、何人コメントしているかなどが分かるじゃないですか。 「好き」を定量化すると、「これぐらいの人がこういうのを望んでいます」ということがわかります。例えば、「1パーセントの人が買えば、これぐらい売れそうですね。ライセンスを出してもらえませんか」という形で、チャレンジしたいなと考えています。

福田:だから、DXだけじゃなくてEX(エンターテインメント・トランスフォーメーション)でなきゃいけないですよね。ご著書にも書いてありましたけども、それをiモードの出始めからやってらっしゃった。

成嶋:当時はエンターテインメントとは思っていませんでしたけども……。

福田:お客さんが望まれていたこと、ということですよね。

成嶋:そうです。あとは自分が面倒くさがり屋というのがあって。

福田:でも、ダメだと反対したのが、一番分かっていそうな方たちだったというのが興味深いですね。

成嶋:そうですね。結果的には。

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