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専業主婦だった母は、LINEスタンプや 出版で活動するクリエイターに

ソーシャルメディア時代だからこそ、「極め人」より「フラクタル」Talked.jp

福田:絵美ちゃんの出身は?

草野:渋谷区です。父は長崎で、母は新潟で、上京して、結婚してっていう。父は画家で、デザイナーです。革ジャンに絵を描いたり、ピンナップガールを描いたりとかするような。だから親の影響は大きいですね。ビジュアルの資料がとてもたくさんあって、父の書斎だけには収まらず、廊下にも玄関にも本棚があって。そこには膨大な画集と資料がありました。

福田:大事だよね。百科事典がある家に育つか育たないで、人間は全然違うと思う。百科事典があって、なおかつ絵があるといいよね。さらにいうと、本棚とかテレビボードとかには、家族の写真があるのが幼少期の理想の環境。それがないと、「数字の人」(ブランディングが理解できないマーケティングだけの人の意)になっちゃう可能性が高いように思う。

草野:「数字の人」になる環境はまったくなかったですね。逆に数字が弱いところもあるくらいで。でも今は現在進行形で、母にも刺激をもらっています。

福田:絵美ちゃんのお母様は、LINEスタンプのリリースで活躍されていますよね。

草野:母は、私や妹から刺激を受けたみたいで。もともと専業主婦だったんですけど、今はLINEスタンプを6シリーズぐらい出しています。最近は「数があった方がいいのよ」とか言って、同じスタンプで名前が違うバージョンを複数出したりもしていますね。

福田:ノウハウ、よく分かっていらっしゃる(笑)。

草野:母も、ネットによってチャンスを得た人なんです。専業主婦をやりながら、イラストレーターとしても少し活動はしていたんですけど、自分のことはあまりやっていなかったんですよ。PTAとか、自治会の会報に絵を描いていて、「地震が起きた時、どういう行動を取ればいいか」を4コマにまとめたりして。「それ、ブログに上げたら」って言ったんですけど、震災後にブログに上げたら出版社の目に留まって、Discover 21から出版されて。累計12万部らしいです。草野かおる著『4コマですぐわかるみんなの防災ハンドブック』という書籍なんですけど。それから毎年1冊くらいのペースで出版していて、もう5冊ぐらいかな。

福田:もちろんお母さんは才能がおありだったんだろうけど、専業主婦をやってらっしゃる間に娘さんがクリエィティブに育って、その影響でブログを出したら出版につながってすでに5冊。それが面白いね。

草野:「今年の目標はインスタを頑張ること」って言ってましたよ。新しいプラットホームを試してみたいって。

福田:つまりそれは、なんでも出来るってことだね。なんでも出来ると信じるってことだよね。さっきの絵美ちゃんの言う「就職活動で社会に出るために、いろんな人の話を聞いた」というのは、すごく成熟した姿勢というか、偉いなと思って。僕なんか凡庸だから、猪突猛進で、なんというか「男の子」なんだよね。「野球選手なりたい!」って言ったら、もうそれだけ。妥当性があるかどうかとか、リサーチなんてない。「できるんだ!」みたいな。

草野:今は「有名になりたい」「YouTuberになりたい」って思ったら、あちこちにノウハウが落ちているし、「有名になるにはどのくらいのフォロワーが必要なのか」とか、「自分の上にはどのくらいの人がいるか、自分の下にこれくらいの人がいるのか」まで、全部分かっちゃう時代ですからね。私の周りにいる音楽をやっている人も、映像をやっている人も、全部YouTubeで学んでいますね。英語が出来る人も、自分の好きなことをチュートリアルで検索した時に、メーキャップが好きな人はメーキャップで検索した時に、英語の方が情報量が出るからって、英語を習得して留学した人もいるし。

福田:台湾に行って日本の雑誌見た方が、ファッションのこと分かるって話だよね。

草野:それが家にいてもできるようになったから。一つのこと極めなくても、つながることが出来る。

福田:やっぱり、絵美ちゃんは新しい。今聞いていて思うのは、「何かやりたい」っていうクリエイティブがあった時、マーケッターとして自分で用意周到に考えたり、仮説を立てたり、人に聞いたりしながら構築しているよね。だから絵美ちゃんは、「マーケティング・クリエーター」だと思う。さっき、いろんな人が「あなたはこっちだよ」とか「あっちだよ」って言うのは、「職業」という概念だけでアドバイスしているから。だから、どの人のアドバイスも有効じゃなかったんだろうね。

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