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「ものの見方」を提示したい

誰よりも早く、世界の未来図を知る  Talked.jp

福田:小林さんの活動のテーマを、すごく大雑把に表現させていただくと、「みんな、いろいろ知らないと思うけど、世界ってじつはすごく進んでいるんだよ」ということを伝えることかなぁと。やっぱり、そういうことを日本人に伝えていく中で、「何が起こるんだろう?」というのを考えていらっしゃる?

小林:そうですね~……う~ん(しばらく考える)。日本版『ワイアード』を創刊した時、外国人記者クラブで記者会見をしたんですよね。で、今も忘れられないのは、某経済新聞の人からの質疑応答です。「インターネットってアメリカの技術で、アメリカの文化がかなり入り込んでいるものだから、日本で浸透するとは思えない」って言われたんですよ。「その上で、そういったものをレポートする雑誌を創刊するというのは、ビジネス的にリスクがあるんじゃないか」という、非常に意地悪な質問を受けたんですけどね。別に悪意があったわけではないのですが、今聞くと面白いですよね。 でも、そんなものなんですよ。今でこそみんな当たり前のようにインターネットを使っていて、「どの口がそれを言った?」みたいな感じじゃないですか(苦笑)。つねに、そういうことの連続なんです。でも『ワイアード』を出版したことによって、例えば堀江貴文さんも読んでいて下さったし、いろんな第一世代の起業家たちが、それで人生が変わったはずなんですよね。今でも企業の新規事業担当者の方に会うと、「大学時代にワイアードを読んで、自分の人生は変わりました」と言っていただくことがあります。だから、福田さんのおっしゃる、「みんながまだ知らない世界のことを伝えていく」ということには、そういう力があると思っています。
読んで下さった『After GAFA 』も、これもおそらく大多数の人は「ふ~ん。でもGAFAって便利じゃん」みたいな話で終わるかもしれないんですけど、プラットフォーマーだけが視界にあるなか、別な切り口の提案でもあり、世界は広いし、尺度はひとつじゃないということを伝えるという意味では、先ほどの『ワイアード』創刊前と変わらないわけですね。数年後に皆なんて言っているのか楽しみですね。

福田:ああ~。なるほど。そうかもしれませんね。

小林:皆、食べ物の食材とっても各人各様の捉え方や好みがあるはず。しかし、「テクノロジー」の場合、なぜかシリコンバレーというひと言で思考停止してしまう。シリコンバレーだって、ひと言で言っても、GAFAやそうでない企業との温度差はあるはずですし、そのテクノロジーを巡っていろんな思惑が各国にありますから。本にも書いていますけど、もしジョブズが生きていたら、今シリコンバレーで起業してないと思います。まず土地が高いし、すでに規範やモデルが完成してしまっていて、彼のような人には刺激的なカルチャーも近接しておらず面白くないかもしれません。

福田:まあ、そうでしょうね。

小林:じゃあ今はどこですかと言ったら、それはもうヒッピー的なアンダーグラウンドカルチャーとテクノロジーが融合しているベルリンですね。英語も通じるし、物価も安いし。

福田:前にお目にかかった時、そうおっしゃっていましたよね。それで俄然、ベルリンに興味を持ったんですよね。

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