本当の幸せは自立の先にある
福田:山﨑さんのお仕事の姿勢には、すべて「人のためになりたい」「人に貢献したい」という思いを感じます。先ほどお話に出た、「社会を変えたい」もそうなんですけど、その思いが社会貢献、「日本フィンランソロピー協会」での活動にもつながっているんでしょうか?
山﨑:ボランティア自体は、会社員時代から続けています。これは、完全に母の影響ですね。母は、人のために生きているような無私の人なんです。人のために労を惜しまないし、それをまた嬉々としてやっている。
私自身も、子どもの頃から、自分のためよりもチームや誰かのためだと最後まで頑張れるタイプだと自覚していたこともありますね。
そしてもう一人、2019年12月に亡くなられましたが、アフガニスタンで人道支援を行うNGO「ペシャワール会」の現地代表で、医師の中村哲さんの活動やお話からも非常に大きな影響を受けています。
中村さんは、上から目線ではなく、現地の人たちと同じ目線に立って支援を考えていました。たとえば、発展途上国では、先進国の最新機器で井戸を作っても、メンテナンスができる現地の人がいなければ、すぐに使えなくなります。中村さんは、現地の実情を調査し、現地の状況に合った井戸を現地の人と一緒に作り上げています。だから、現地の人たちは自分たちだけでメンテナンスができるようになります。人が自立できるようにする支援こそが、社会貢献の真のあるべき姿だと感銘を受けました。
福田:なるほど。素晴らしいですね。山﨑さんの現在の活動についても、ぜひ教えてください。
山﨑:特に近年は、厳しい環境にある子どもたちが自己肯定感を高め、自立していくための支援に注力しています。最終的には、彼らが誰かに依存して生きるのではなく、自分の足で立って、歩み生きていくことをサポートしたいと常に思っています。
そして、これは彼らに対してだけでなく、プライベートバンカーとしてのクライアントにもつながりました。本当の幸せは、自立の先にしかないと私は信じています。そしてそれを促すためにコーチングを学んだのです。
福田:では、これからいよいよ「コーチング」についてお話を伺いたいと思います。
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