日本という国を解体してみる
コミンズ:今の話で言うと、先ほど話した李の大学時代の仲間で、めちゃくちゃすごい毛塚君っていう人がいるんですけど、彼は茨城県つくば市の副市長なんです。最年少で25歳で副市長になったんですけど。
福田:すごいね! つくば市はたくさんのイノベーションを起こしてますね。
コミンズ:彼はもともと、経済産業省にトップエリートで入っていて、でも数年ぐらいして、「国レベルだとスピードが遅い」って思って即行辞めて。で、詳細は省きますが最終的にはつくば市の副市長になったんですけど、そうすると何ができるのかと言うと、つくば市でいろいろ面白いことができるんですよ。例えば先ほど話した、子どもの貧困を解決するNPOの「Learning for All」とプログラムを組んで、具体例をつくば市でやるとか。
福田:面白い!
コミンズ:そういうことをやっている若者は大勢います。
以前僕が、「World in Twelve」という、世界のさまざまな都市に1カ月ずつ住むプロジェクトをやってみて分かったのは、“国”という感覚で生きているところって、本来は少ないということです。オリンピックとかワールドカップとかがあるから、“国”が見えてくる。感覚として思っているのは、ああいうのは擬似戦争じゃないですか。誤解を恐れずに言えば。
福田:うん、それは同感ですね。僕の考えですけど、オリンピックってナショナリズムだと思っている。今まで1回も見たことがないです。
コミンズ:例えば、ドイツ人とひと言いっても、バイエルンとベルリンとハンブルグの人たちは、自分が同じ人種だとは思っていない。スペインでは、カタルーニャ人なんて、自分たちがスペインと一緒くたにされることを一番嫌っていますからね。日本人の観光客がバルセロナに行って、「パエリアどこで食えますか?」って言ったらキレますから。「なんでスペイン料理なんだ!」って(笑)。外国人が東京に来て、一番おいしい韓国料理を教えてください、みたいな話じゃないですか。いや、まあ美味しいとこはあるけどよ、みたいな。内心「和食を食え!」って思うわけですよね。ほとんどの国は、そんな感じなんです。戦争における侵略の歴史・植民地・そもそも民族の多さ・中央主権の変化など全部混ざり合って、もうごちゃごちゃ。それに対して、日本だけなんですよね、本当にここまで一つの場所と民族に固執しているのは。あと、逆にオーストラリアとニュージーランドも極辺にあるからこそ、いつも自分の国から逃げようとしていますよね。「もうオーストラリアには飽きたよ!」みたいな。
福田:(笑)。オージーは世界一旅人だよね、世界中に散らばっている民族。羨ましい。
コミンズ:そう、世界中で。日本人こそ島国であって、一応大和民族みたいなかたちでやっている我々は、日本という国家と一体。だからこそ、福田さんが言うのも面白いんじゃないですか。廃藩置県を反対にして、廃県置藩にしちゃって、もう1個1個の国にしちゃうのもあり!と(笑)
福田:コロナによって、地域ごとの対応が必要な政治的イシューが出ました。「二拠点生活で、田舎を活性化させましょう」とか、そんな甘いレベルじゃなくて、政策レベルにおいて、47都道府県はそれぞれに独立した権限を持たせるべきだし、そういう方向にいくんじゃないかなと僕は思いますね。
(後編へ)