旅で得た人脈がVoicyの源
福田:世界一周は、どういうふうに回りました?
緒方:初めに「英語がまったくできなくても楽しめる街」というのを調べたら、シドニーだったんですよね。
福田:間違いない!(笑)
緒方:はい。それでシドニーの語学学校に行った時、目の前にいた韓国人の人から「夜飲みに行こう」って誘われたので、初日から飲みにいって。それで「1年半いるんだぜ。オレは」みたいな自慢話を彼がしていたんですよ。その時に、ずっとビールを抱えながら「ケン、MORE、MORE」って。1年半いて、ボキャブラリ「MORE」かぁと(笑)
福田:(笑)
緒方:次は「勉強する街はどこか」と調べたら、ボストンだとわかって。「次はボストンへいこう」となったんです。ハーバードとMITの間に住んで、現地のいろいろな日本人コミュニティに顔を出していきました。その時に結構、いろいろと面白い人がいっぱいいましたね。「え、そんな人まで!?」っていう感じなのですけど。予防医学研究者の石川善樹さんとか、健康学の先代でNASAジェット推進研究所(JPL)の小野雅裕さんなど、NewsPicksアカデミア(*4)の人たちばかりなのですけど。あとは、津川友介さんという健康法の本を書いている人だったり、楽天CDOの北川拓也くんがいたりとか。
福田:北川さんも、関西でしたね。
緒方:はい。あと遠藤謙さんという、乙武洋匡さんの義足を作っている人もいました。みんなと、そこで飲みながらコミュニケーションをしたりして。
福田:みんなボストンの関係でいらした?
緒方:はい。MITからハローズにいた人たちで、「すげえ! 面白いな」と思って。そういう人たちの話も面白いし、僕はそのあと、ニューヨークにも行っていたので。SHOWROOMの代表の前田裕二くんに会ったり。
福田:いい感じの広がりですねぇ。
緒方:ニューヨークでも面白い人がいっぱいいたので、ニューヨークで「日本人勉強会」というのを作りました。たとえば、初めに日銀の人が「アベノミクスをどう作っているか」という話をしたあと、証券会社の人が「アベノミクスにどう乗るか」という話をしたり。ダンサーと、パフューマー(調香師)、弁護士など、いろいろな人がいます。初めは20人だったけれど、いつのまにか登録者が3000人になって、大学が講堂を貸してくれて…という状況になりました。で、僕がMCをしながらプレゼンをレビューして、司会で入るというかたちで行っていました。
福田:それこそ、ものすごくいい学びの場ではないですか!
緒方:はい。そういう人たちの面白い話がこんなにある場で、誰ひとりネット上には発信していなかったんですよね。それで「いつか、この人たちとみんなで集まってNPOみたいなものを作って、日本中の小中学校で“こうやって人生を楽しんでもいいんだよ”っていう講演ができるような存在を作ろう」と思っていました。たとえばサイトを見ると「講演料20万円とか200万」とか、富裕層、キャリアのある人がむちゃくちゃたくさん載っているんですけど、僕から見ると、「その人たちの人生、そう憧れないなぁ」と思うようなラインナップなんです。誤解を恐れずに言うと、ですが…。だからもう、あれを駆逐してやろうと思いました。もっと人生、楽しく生きている人たちが、それでもどこか頑張っている。そういうことを打ち出そうと思ったんですけど、それも結構Voicyの着想の1つでした。そうやって、楽しくも忙しく生きている人たちが、人生で考えていることをどんどん残していけばいいなと思って。
福田:人の話がいちばん面白いですよね。やっぱり。
*4…第一線の実践者によるMOOC(オンライン講義)、イベント、書籍、記事を通じて、最先端の実学を提供。多分野の実践者が集う「学び場」を提供する有料サービス