9.11でイケイケの価値観が崩壊
福田:ご両親は後を継いでくれないんじゃないかと心配されませんでしたか?
青江:だから説得するために企画書を作りました(笑)。
福田:企画書を?
青江:心の中ではアメリカに行ったきり戻らないつもりだったんです。でも、親に対しては、これから日本にも海外からの観光客がどんどん来る。浅草にもたくさんの外国人が来るから語学力がないといけない。それに、これから社会もどんどん変革していき、宗教法人がどこまで守られるかわからない。課税対象になるかもしれないから、経営っていう側面を考えないといけない。なので、僕はMBAを取りにいきたいと思います、と。ロジックの破綻はないので、親もOK出してくれました。
福田:その発想がすごいですね。
青江:で、最終的に大学院でMBAを取ってコンサルをやりながら自分の会社もやって。もうとにかくイケイケだったんですよ。
福田:場所は?
青江:カリフォルニアで、アロマセラピーのグッズを販売する事業をやっていました。向こうでずっと仕事をして一生暮らすつもりだったとき、9.11があったんですよね。アメリカ同時多発テロが起きて、そのときに友達もちょっと巻き込まれたりとかして。
福田:それは何歳のとき?
青江:僕、1977年生まれで、あれが2001年の9月11日なので・・24歳ですね。
福田:24歳か。
青江:そのときに価値観が全部壊れちゃったんですよね。それまではずっと「こういうふうにお金稼いでいる俺、かっこいい。MBAとっている俺、かっこいい。英語も喋ってる、かっこいい」って。それこそTEDでもお話したのですが、どんどんいい服を着る、高いアイテムを身につけるっていう「武装する」発想だったんですけど、911があって、自分の価値観が壊れて、そんなふうに世の中が大変なときに自分にできることって献血と寄付くらいしかなくて。寄付っていってもどんなに出しても数百万が限界で、一方でビル・ゲイツさんとかはボンと何億ドルとか出すわけじゃないですか。勝てないってなったときに、自分の価値が全くわかんなくなったんですよね。本当にどうしていいのかわからなくて、世の中こんな生きづらいと思わなかったって・・。初めての挫折でしたね。