“忘れられた州”に引き寄せられた
福田:モザンビークに行く発想はどの辺で?
栗山:エチオピアでのボランティアは、当初は2週間ぐらいの予定だったんですけれど、入ってみたら人手が全然足りていなかったんです。最初は子どもをあやしたりとか、洗濯物や掃除の手伝いだと思っていたんですけど、結構、看護婦さん的な傷の手当てだとか、そういう担当になって、いろんな患者さんとの日々があって、結局7カ月いたんです。
福田:で、次はどうしようと?
栗山:もうアフリカを出ようと思っていたんです。ただ、エチオピアから飛行機に乗るとフライトコストが高いんですね。南アフリカからのほうが安いよって聞いて・・。で、とりあえずバスで南アフリカへ向かって、そこから飛行機に乗ろうと思って。
福田:なんか、福岡から宮崎、熊本みたいなイメージだけど、その数倍ですよね。何日かかるんですか、1カ月ぐらいかかるんじゃないですか。
栗山:どうだろう。乗り換えがうまくいけば1カ月もかからないと思います。でも、雨の時期とか、道が悪くなったりすると、時間かかりますよね。
福田:とにかく南アフリカに向かったわけですね。
栗山:はい。エチオピアからみんなで乗り合いワゴンとかバスとかトラックの荷台とかに乗って、まずケニアに向かったんですけど、エチオピアにいたときは施設の中だったので、周りの家の様子とかそんなに分かんなかったんですね。移動しているうちに、もっと現地の方のことを知りたくなったというか、興味が出てきたんです。
福田:南アフリカからどこ行くつもりだったんですか?
栗山:とりあえず南アフリカに行くことしか考えていなかったので、着いたとき「さて、どうしようか。そろそろ日本に帰ろうかな」とも考えました。でも、南アフリカの前にモザンビークを通過していたんですけど、マラウイからモザンビークに入るとき、乗る予定の汽車というか電車が止まっていて、1週間ぐらいその町にいることになったんですよ。モザンビークって他のアフリカの国と違って英語が通じなくて・・。
福田:もともとフランス領だっけ。
栗山:ポルトガル領です。それまではマラウイとかエチオピアとかケニアって何だかんだ英語通じるんですよ、道にいる人に聞いても。なのにモザンビークの北部に入ったらもう一気に英語が通じなくなって、大変でした。それほど大きくない町に1人でいることになって、2日に1本の割で汽車が来る予定だったんですけど、なかなか来なくて、そのときに、何か食べ物探してうろうろするじゃないですか。そうしたら、本当に何かみんなすごい貧しそうで。