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20年揉まれて得意になった「EC最適化」

中国テックビジネスのスペシャリストに聞くAI+アナログの最適解とは?(後編)  Talked.jp

福田:これからおやりになりたいこと、ここ1年ぐらいでやりたいな、これ興味あるなというのはなんでしょう?

成嶋:そうですね……。VRとか、ああいうのも実は結構好きなんですけど、いまいち……どこにハマるかなというのが分からないんですよね。自分の中で唯一「この使い方がいいかな」と今のところ分かっているのは、VRのVの字も生かせていないんですけど、第一線でがんばっていた人たちがリタイアされたあと、メンターとしてちょっとだけ話す場づくりにつなげる、とか。

福田:いいですね。

成嶋:例えば、私が何かやりたいなといったときも、相談する相手がいないんです。それが結構困っていて。第一線で働いてきた人たちでも、結局、会社を定年退職したあとは、急にスキルを活かす場を失うじゃないですか。そういう人たちの時間をちょっといただいて、でもデジタルについては分からないと思うので「とりあえずこのヘッドセットをかけてください」と。「そのまま話してください」というだけだったら、いけそうな気がするじゃないですか。

福田:ある4コマ漫画で「業界のフィクサーみたいな人に、”ひと言”頂かないとその政策はやっちゃいかんよ」「分かりました」という笑い話があって。そのフィクターの家に行ったら豪邸で、和装の老人が池の鯉の前に座っていて。「先生、ちょっとこういうことで悩んでいることありまして、お力添えを」と言うと、「うん、今日は良い天気だな」「ありがとうございました」という(笑)。そういう人、実際にいるんですよね。別に特別な言葉はないんだけど、「信任いただきました!」という感じの大人の儀式。 …でも成嶋さんは、どうやってそういう、特殊なビジネスの出会いを作っていけちゃうんでしょうね。

成嶋:私はどちらかというと「0-1」が得意かな、と。その先の「1-10」とか「10-100」を、バシッとサポートしてくれる人たちに渡していく、というほうが、物事は全然、早いんですよね。

福田:変な話、「お金をたくさんもうけよう」みたいな欲は、そんなにお持ちではないんですよね。

成嶋:(お金は)あればあったでいいですけど。取りあえず今は、そういうことをやっていたら急にいろいろな人がおもしろがってくれた、というところなので。

福田:めちゃくちゃおもしろがるでしょ、みんな。

成嶋:「お前やばいな」となりますね(笑)。昔、異端児と言われていたんですけど、最近は「宇宙人」と言われるようになって、そこからはほとんど干渉されることがなくなって、ほっとかれています。「あいつはああだから」みたいな、触らないでおこうみたいな感じで。

福田:(笑)。でも、こんな立派なご著書を出版されたらエスタブリッシュメントされちゃうから、文化人枠で再び戻されちゃうかもしれないですね。

成嶋:いやいや。これだって結構適当に、自分の主観で書いているので。本にも少し書いたんですけど、例えば私がもし日本で出前のサービスをやるなら、トレーラーハウスを買ってきて、裏手にボンボン……とつなげておいて、ゴーストレストランを作りますね。トレーラーハウスのほうが定率だと2年で減価償却するので、それでバーンと置いて、50社ぐらい飲食店を入れます。ホームページはこちらで管理して、その50店舗を同時に開店させて、それを時間で仕切って、さらに時間貸しで分けてやると、50店から100店は束ねられるんですよ。そうすると、その地域で出前できるお店でその店舗数というと、ある程度プラットフォームにインパクトが与えられるので、夜10時から半額とかをグループ店舗全部でやると、レビューがめちゃくちゃ稼げるはずなんですよ。それでレビュー数で優位性を築き、上位に表示されればもう勝ちなので。

福田:でもそういうオペレーションを、成嶋さんは実際にはやらなさそうなイメージがあります。

成嶋:でも私、ECを20年やっているので、そこはそこでかっちりやります。

福田:やるんですね、やろうと思ったらできる。

成嶋:はい。楽天市場でショップ・オブ・ザ・イヤーってあるんですけど、もともと食料品以外のシーズナル商品では弊社が初でして。5万社のうち50社、それを私、取っていまして。

福田:そうなんですね。それはいつごろの話ですか?

成嶋:2017年で、史上初で。18年からはずっと私が一時期、社外取締役をやっていたところが、順調に成長してショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。去年から手がけている製造メーカーのECショップも、月商300万ぐらいだったのが、今、3500万ぐらいまで上がりました。ECはたぶん結構得意なんですよ。

福田:すごいですね。

成嶋:ECは最適化というのがあって。そこで大きく勘違いするのは、例えばゴルフクラブだと、だいたいの人は「メーカーは有名なところのものです」「有名人が設計しました」「500本限定です」みたいなことやるんですよ。でも実際はコンバージョンするというのは、「持った瞬間に違うと分かった」とか、「なんかすごく真っすぐ飛ぶ気がした」……みたいな、インサイトから入ってくるのが大事なんですよね。

福田:今度、自分がECをやるときは、ぜひ顧問になってください(笑)

成嶋:20年ぐらい揉まれて、いろいろなときもありながら生き残っていますので。生き残るのにはいろいろな難局もあるんですけど、どうにかしているということで、勘がきくというのはありますね。

福田:勘がきくどころか、脳に対してのアイデアがすごいですよ。いやもう、頭がいっぱいになりましたし、爆発的におもしろかったです。

成嶋:ありがとうございます。

福田:ありがとうございました。ぜひまた、ご意見お聞きしたいです!

(了)

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