「HUBchari」事業の成功。でも、それだけでは救えない現実
福田:なるほど。たしかに『HUBchari』は、人とのコミュニケーションも最小限で済むわけですよね。でも川口さんは、もっと違う選択肢としてのコンテンツの必要性を感じていらっしゃる。それは、自転車関連だけでは、限界値があるということ?
川口:そうです。雇用枠の問題もあるし、シフト制なので柔軟性がないですし。特に、行政からの放置自転車対策の委託業務の方は、継続性の不安も付きまといますし。
福田:えっ、そうなんですか!?でも、床屋がなくならないのと同様、自転車問題って、そうそうなくならないのでは?
川口:えぇ。その事業自体はなくならないと思うんですけれども、『Homedoor』がずっとその市場を独占できるとも限らないので。去年、別の企業から担当がうちに変わったことで、ある自治体では約70%の放置自転車数が削減されたという成果が出たんですよ。
福田:おっちゃんたち、すごいですね。
川口:みんなで頑張り過ぎちゃって。「エフ」っていって、自転車のハンドルに、「ここ止めないでください」っていう札を張るんですけど、おっちゃんたちが頑張って、毎日2000枚ぐらい貼ってくれて、採算割れなんですけどね。
福田:スタッフの方は、現状の給与に対して不満は出たりしていないんですか。また立ち入ったことですけども。
川口:それは特にないですね。多い人だと時給1000円くらいですね。
福田:じゃあ現状はいいとして。でも、放置自転車がなくなるのは社会にとっていいことではあるけれども、他の業者よりいい仕事をすることで、仕事自体がなくなるリスクがある、と。
川口:予算が減る可能性もあるし、他の業者の台頭も考えられるし。不確定なのはたしかですね。