『ホームレス支援の新しいカタチ~誰にでもやり直せる権利がある』 ホームレス支援団体『Homedoor』川口加奈氏×実業家 福田淳の対談【後編】

イメージが見えてきた!次は、具体的な戦略をどうするか

福田:みんなコンビニ弁当を買うから、コンビニにはすごい人がいつも並んでいてね。だから、ビルの近所の定食屋でも、ウェブサイトで「何時までに何食」と言えば、あらかじめ確実に決まっているものについては対応してくれますよね、きっと。おっちゃんにとっても、「ビルの中の16階と18階と17階ね」みたいなことだと、迷わないだろうしデリバリーもしやすいと思うし。あと、デリバリーされるシーンをみんなに見せることで、それが宣伝になるから宣伝費も安くなる。個人だと、そのシーンをほかの人が見られないから、宣伝にならないじゃないですか。そうすると、最初は小さな投資で成り立つビジネスになる気がしてきましたよね。
さっき大切なのはコンテンツであって、仕入れ先の飲食店という話をしましたけれど、ブランドのテイストが決まれば、アプリである必要もないのかも。アプリをダウンロードさせるというよりも、チラシとスマホか、サイトウェブサービスできっちりオーダーが取れれば、そのほうが簡単かもしれないのかも?

川口:なるほど。

福田:混んでいるコンビニに並ぶ人たちが、「おっちゃんにデリバリーすると、社会にいいことをしたことになるんだ」っていうふうに思わせるストーリーが肝です、きっと。ただのデリバリーと思われたら意味がないから、おっちゃんたちの裏のストーリーが、ちゃんと表へ出てくるようにして。たとえばどこかの企業の偉い人を巻き込んで、「俺、こんなんやってるねん。普段やったら600円で食えるところで、1000円払ってんねんで。でもそれが社会貢献になるねん」と言ってもらう? インフルエンサーみたいな人に最初オーダーしてもらって、自慢してもらうのもいいかもしれない。
フランスのある魚屋さんが、パッケージを替えただけで、売り上げが2.4倍になったという話があって。魚って日本もフランスも変わらなくて、マルセイユの漁港で「これください」って言ったら、クルクル新聞に包んでビニールに入れて「はい」おしまい、みたいなのが普通らしいんですよね。だけどそれを、ちょっとおしゃれなパッケージをつくって、「何日までにお召し上がりください」っていうようなハンコを作って、ポンと押すだけの仕組みにしたそうなんだけど、そうするとたくさん魚屋さんがある中で、「パッケージがいいからそこにしようかな」って思うじゃないですか。そういうことも、ブランディングだと思うんですね。
クリエイティブを活用したブランディングはソニー・デジタル社が得意ジャンルなので、どんどんご協力させていただけたらと思います。

川口:ありがとうございます。なるほど。心強いです。

福田:でも、なんかイメージできてきましたね。とにかく最初は小さく始めてみて。これ、いつ頃立ち上げますか? とくに、どのお店を狙おうかっていうところは、多少調査を開始していたりする?

川口:周辺で若干調べましたけど、まだまだ全然です。

福田:どうやって店を落とせばいいのかな。

川口:そこはちょっと悩みですね。うちの営業スタッフだけが頼りなので。

福田:大きいビルの周りのお店を落として、最初3カ月は無償でやって定着させて、リピーターを増やすのがいいのかな、と。初回からお金を取るのって、ハードル高いじゃないですか。とくに新しいサービスの場合。3カ月ぐらいで歩留まりが10パーぐらいとか、もっと低いかもしれないんですけど、でも今プレミアムサービスの相場はそれくらいだと思うし。極端に言うと、携帯ゲームは2パーセント課金してくれたら成功ですから。98パーセントの人たちは、無料で遊んで終わるだけなんですよ。

川口:なるほど、いいと思います。