おっちゃんにしかできない「コミュニティ」がキーワード
福田:ビルの中で最初取ってくのがいいと思うんですよ。法人ではなくて、その中にいる個人の人で。
川口:北区のビルは、割と周辺においしい飲食店がいっぱいあるっていうのもあるから、場所も改めて考えたほうがいいかもしれないですね。
福田:でもこのコンセプトでいくなら、「不便を助ける」っていうより、「品ぞろえが面白いな」というところに集中したほうがいいよね。それで自分たちができるキャパを決めて、それをあえて「限定」という言い方をすればいいと思う。あと、ネーミングのイメージはありますか。
川口:ないです。普段はダサいネーミングも思いつくほうなんですけど(笑)。なんかもう、思いつかずで。
福田:でもやっぱり、キーワードは「おっちゃん」ですよね。
Googleには世界中に食堂があるんですけど、その食堂に、とあるおっちゃんがいて。残飯のごみが出ると、みんなで仕分けしなきゃならないということで、おっちゃんがいるんですね。で、食べて帰ろうとすると、「おいしかったか?」と聞いてくるの。で、「おいしかった」って返すと「こんなに残してたけど、今日は具合悪いの? 二日酔い?」とまた聞いてくるんですよ。残したものに対して、必ず何かの会話がある。そうしたら、その会話の結果Googleの食堂から25パーセント残飯がなくなったと言います。そもそもGoogleの食堂は全部タダだから、みんなあれもこれもと食べ過ぎで、どうしても残しちゃう。そこで、「どうした?」って必ず聞いてくれるコミュニケーションが必要だったんですよ。
今回の川口さんのコンテンツも、デリバリーしたおっちゃんがコミュニティを広げていくと面白いですよね。そういうベタかもしれないけど、キラキラッとした要素がサービスの中に入ってくると面白いと思うんです。だからウェブサイトのページには、「どういうサービスなのか」じゃなくて、「どんなイメージのサービスにしたいのか」というページを設けてほしいなと。そのおっちゃんたちがデリバリーして弁当運んできてくれたときに、「こんなコミュニケーションが広がることってあるよね」っていう。
川口:なるほど。
福田:僕の実家は大阪なんですけど、昔から親戚中で頼んでいるクリーニング屋さんがあって。いつも取りに来てくれるんだけど、そのクリーニング店のおっちゃん、とにかくおしゃべりでね。大阪人だから。まぁ僕もだけど(笑)。忙しいときだとたまらないんだけど、そうじゃないときは面白くてね。個人情報も何もあったもんじゃなくて、「あのミュージシャンの人が出した服がね」とかなんとか、そんなこと言っちゃうわけ(笑)。しかも搬出を間違えたりして、結構すっとぼけていたり。「あのシャツ、全然返ってこないんだけど」って言うと、「あっ、間違えて、別の家に持ってっ行っちゃった」とか。「何やってんの〜」とかって言うんだけど、怒りとか、クレームを言いたいとかいう気持ちにはならなくて。
川口:すごい。へぇ。大阪のおっちゃんですよね?
福田:そう、大阪のおっちゃん。だから、デリバリーも、あのクリーニング屋のおっちゃんみたいな感じになるといいなと思って。キャラクターとして立っているというか、それでみんなも許容してるっていうあの感じがあると、面白いかもしれないな。よし、じゃあそんなところで、ぜひかたちにしましょうね。
川口:ぜひよろしくお願いします! 今日はありがとうございました。
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