22.面白い話を聞いたけど、ネットでググッても全然出てきませんでした
最後に、「アイデアで革命を起こせ」と言いたいです。ガラケーのちっちゃな3.5インチの世界から木村伊兵衛賞出したり、ベストセラー作家の菊田まり子さんに365日絵本描いてもらったり(パンテーン提供『ハッピーサイクル』)、藤子不二雄(A)のマンガをコミックアートにしてBEAMSで売ったり、デコメのアニメ作品(岡本将徳「ホーホー」)で世界のアニメ賞狙ったり、いろいろ挑戦してきました。単にお金を儲けるだけじゃなくて、クリエイティブを通じて社会に貢献することも重視しています。僕が発起人になって作った「タイガーマスク基金」のために、タイガーマスクをLINEスタンプにして、その収益金すべて、基金を通じて恵まれない子どもたちに寄付しました。「デジタルって所詮子ども遊びでしょ」と言われ続けてきましたが、iモードもスマホも大人に認められるような本格的なメディアできたんです。
だからといって、デジタル史上主義というわけではないんです。むしろ「検索にない人生」を大切にしています。以前、IT業界の後輩たちと話して盛り上がった後で、「いやあ福田さんの話面白かったけど、ネットでググッても全然出てきませんでした」って言われたことがあったんですね。いや、人生の全てがいちいちGoogleに載っている方がびっくりしますが(笑)、生まれたときからGoogleがあったらGoogleに全部載っていると勘違いするのも、無理からぬことですよね。でも、ある場所に興味を持ったなら、やはり実際にそこに行ってもらいたい。時に怪我したり危ない経験したりするかもしれないけども、それが何を意味しているのかも含めて答えを見つけるのが人生の楽しみじゃないかな、と思います。
23.どんなにデバイスは変わろうとも
そこで表現されるものは原始の時代から不変
最近はスマホ関連でいろいろやってますけども、たまたまそこに行き着いただけで、一番の仕事は「時代の気分は何を表現してるのか」と考えることなんですね。さっき申し上げたとおり、この先、自分専用ドローンが当たり前になり、ライフログを全部取ってくれたら、メールもLINEも要らなくなるかもしれません。AIが完成したら、わずらわしい仕事は全部そいつに任せて、自分は遊んだり考えたりすることに集中したい。どうやったら楽できるかって考えるのが、最大のマーケター道だと思うんです。ただ、楽をしようとするなら、尚更寄り道はしたほうがいい。自分の経験から断言しますが、よりいいアイデアが出ます。
アイデアを愛する、エンターテインメントを愛する。キラキラしたものを世の中に提供したいという志をお持ちなら、どんなに時代が変わっても「変わらないもの」に目を向けることが大切です。まず「1日24時間」というのは変わりません。その限られた中で寝る時間と食べる時間は絶対に確保しなければいけない。同時に、友達と遊んだり、映画を見たりする時間も間違いなく必要なんです。これは愛ですよね。感動ですよね。エモーションが動いて、人生って楽しくなるものなんです。それは実は表現の世界でも変わってなくて、映画がメディアの主役の時代においては、みんな映画で愛を知ったであろうし、マンガの時代はマンガ、テレビの時代はテレビ、ケータイ小説が流行ればケータイ小説で感動して泣いてきたんです。デバイスは変わっても、そこで表現されるのは原始の時代から不変なのです。
24.会社は給料で社員の人生を買っているわけではなく、
その人の才能を借りているだけ
みなさん、これから社会に出て、会社に入ったら「これをやりなさい」って命令されるのだろうと思ってませんか? もちろん、新入社員の頃はそういうこともあります。でも、それほど会社って社員にやってほしいことが明確にあるのか、僕自身が社会人になってから疑問に思うようになりました。実はもっと自由なんじゃないかな。社員が自由に動いて好きなことを見つけて、それで会社に貢献できればいいのではないかと。会社は給料で社員の人生を買っているわけではなく、その人の才能を借りているだけなんです。
「福田さん、公私混同は大いにしていいんだよ」。内田さんはよく冗談ぽくおっしゃっていました。皆さんも会社に入ったからって縮こまることなく、堂々と好きなことを見つけて、できるだけそれを追求してください。別に飽きちゃったり、苦しくて挫折しちゃったりしてもいいと思うんですよ。入社して、これ頑張ろうとやってみたことでも、合わなかったなら無理して続けることないんです。時間の無駄なんで、その会社辞めちゃっても構わない。「おいおい、3年ぐらい我慢しろよ」って言う先輩いるかもしれませんけど、僕の周りには3年我慢しないで成功した人いっぱいいますからね(笑)。ルールなんて何もないんですよ。
僕自身、勢いで会社辞めちゃいましたからね。ローンもあるのに2年間収入なかったわけですから。こんな無責任なことあるのかってなるかもしれませんけど、人のためではなく、自分のために生きているので。就職活動始まると、企業は「信念の人」みたいなものを前提に求人計画を立てて、「そういう人が欲しい」って言いがちですが、僕自身はそんな社員にはなれなかった。気が散って、すぐ飽きちゃって投げ出してしまう。だけど飽きるってことはまた別に新しい関心事ができるわけで、そういう生き方でもいいんじゃないかなと思います。わがままかもしれないけども、人の顔色窺ったり、他人から言われたことばかりやっていても、やっぱりつまんないので。意に沿わないことは途中で投げ出しても、自分自身が充実していたい。それを貫けば、周りにも少しは影響を与えることができるんじゃないかな、と都合よく考えています(笑)。
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【ニューメディアが拓く面白人生!】8ミリ映画から衛星放送、iモード、スマホアプリまで。ニューメディアの可能性を広げるのが醍醐味。@慶應義塾大学 メディアコミュニケーション研究所【後編】