ソーシャルデザイン入門
~「自分のため」から「社会のため」へ。多様化する価値観にどう伝えていくか~(前編)
主催:日本ファンドレイジング協会
構成:福田千津子
日程:2017年3月18日
並河 進氏(写真左)
1973年生まれ。電通ソーシャル・デザイン・エンジン代表。社会貢献と企業をつなぐソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)『しろくまくんどうして?』(朝日新聞出版)『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)『Social Design 社会をちょっとよくするプロジェクトのつくりかた』(木楽舎)ほか著書多数。
福田 淳氏(写真右)
ソニー・デジタル エンタテインメント 社長
1965年生まれ。日本大学芸術学部卒。アニメ専門チャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント バイス・プレジデントを経て現職。
好きで買う行為が寄付になる!
河内山: 皆さん、こんにちは。司会を務めさせていただく河内山信一です。株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズでNPOのコンサルをしています。認定ファンドレイザーでもあります。ということで、本セッションの講師をご紹介したいと思います。株式会社ソニーデジタルエンターテインメント社長の福田淳さんです。
福田: よろしくお願いします。
河内山: そしてもう一人、電通デジタル、並河進さんです。
並河: よろしくお願いします。
福田: さっそくですが、事例からご紹介していきますね。僕が一番最初にファンドレイジングに目覚めたのは、やはり2011年3月11日の震災ですね。当時はまだiPhoneが普及していなくて、ガラケーしかありませんでした。iモード時代に、「SAVE MIND, 100CREATIONS」という企画を震災の翌日3月12日の夜から開始しました。趣旨としては、100人のアーティストに毎日絵を描いてもらって、それを待ち受け画像として、毎日iモードで有料配信するというものでした。ダウンロードしたらユーザーは100円支払います。で、そこからドコモが11%手数料取り、残りの手取りの89%を全額寄付しました。これ、自分では画期的なやり方と思ったんです。今でこそマイクロファイナンスは、たくさん種類があって、クラウドファンディングのプラットフォームもありますが、当時そんなの全くなかったんです。SNSもなくガラケーだけで、寄付のシステム構築を考えら、iモードは完璧じゃないか、と思いつきました。問題は、震災の翌日から100人のアーティストを集められるのか、ということでしたね。当てもなく始めたんですけども、水木しげる先生、藤子不二雄(A)先生をはじめ、現代アーティストから有名漫画家まで、様々な分野の100名の方が描いてくれて、ものすごい反響があったんです。それまで寄付っていうと企業がまとまってするとか、そういう概念しかなかったのですが、初めて、C to Cですよね、お客さまが買った行為が寄付になる仕組みを作りました。今では当たり前なんですけど、2011年当時は全くなかったです。何かをやろうと思いついたときに、あるものから考えるのではなく、どう実現できるのかっていう風に発想するのが大事なのですね。
http://save100.jp/